第6話
「せ、精霊!?」
突如姿を表したアルセラーンの姿にカールマンはぽつりと呟いた。
「そう言うことか………」
そして次にカールマンが呟いた言葉に、私は私を守るようにたつアルセラーンの姿にカールマンが全てを理解したことを悟る。
そう今になりようやくカールマンは私が契約者であることを隠していたことを理解したのだ。
「ふはは!やったぞ!よくやった、サーマリア!」
「………え?」
………けれども次にカールマンのとった行動は全く意味が分からないものだった。
カールマンは酷く嬉しげに笑い出したのだ。
契約者とは本来王家が直々に管理するような存在だ。
だから貴族が、契約者を王家の手が及ぶ前に確保できれば、その貴族は破格外の力を有することになるだろう。
………けれども、私はもうカールマンに勘当されているのだ。
つまりもう私とカールマンにはなんの関係もない他人でしかない。
「これからよろしく頼むよ!」
けれどもカールマンはそんなことを気にせずに馴れ馴れしくアルセラーンの肩に手をおこうとして。
「………不快だ」
「ひぃっ!?」
………次の瞬間激怒したアルセラーンの放った稲妻がカールマンの顔すれすれに放たれ、カールマンの背後にあった塔を全壊させた。
「貴様!私はサーマリアの父だぞ!」
一瞬、カールマンは怯んだがしかし次の瞬間アルセラーンへと怒りを露に怒鳴る。
「ああなるほど」
そしてそのカールマンの言葉に何で彼がこんな行動に出たか私は理解する。
そう、今のカールマンは私が契約者であった衝撃で私の勘当が頭から抜けてしまった状態なのだ。
「いえ、もう他人ですが」
「っ!?」
だから私はカールマンに現実を思い出させるために、勘当の書類をカールマンにつきつけながら笑顔でそう告げる。
そしてその書類を見た瞬間、ようやく自分のしでかしたことを思い出したのか、カールマンの顔に隠しきれない焦燥が浮かんだ。
「そ、それは私の間違いだったようだ。その書類を渡しなさい。勘当は無かったことに………」
次の瞬間、勘当の取り消しの手続きに必要な書類を私がもっていることに気づいたカールマンは猫撫で声で私の説得を試みる。
「お断りします」
「ぐっ!?」
けれども、私はカールマンの提案を飲むなど一切なかった。
そのために今まで契約者であることを隠してきたのだから。
「………仕方がない」
けれどもカールマンもまた易々と諦めることはなかった。
「やれ」
次の瞬間、カールマンは冷ややかな目付きで周囲に控えていた兵士たちに私を取り押さえるようにと命令する。
………その瞬間、カールマンの破滅は決定した。