第1話
王国の契約者達の評判、それは他国に比べ格段に悪い。
その理由は王国の契約者達に対する教育方針にある。
王国は王族の加護により、契約者を早期に見つけることが出来る。
……そして王族はまだ幼い契約者に対し、過剰な程の優遇措置を取る。
教育を敢えて契約者達には覚えさせず、自分たちは王族を除けば一番偉いのだという選民思想を植え付ける。
その結果、王国の契約者は自身の精霊の諫言にも耳を貸さない傲慢かつ愚かな王族の操り人形と化すことになる。
そしてその、他国に比べればあまりにも愚かな契約者は民衆には決して良い印象を持たれることはなく。
…….マルクスもそれらの契約者と同じ教育を幼い頃から受けていた。
最初マルクスと出会った時、マルクスは生意気としか言いようがない子供だった。
仮にも高位貴族である側仕えの人間に怒鳴りつけ、私にもスカートを捲り上げるというイタズラを敢行してした。
だからこそ私のマルクスに対するイメージは最悪だった。
王国の操り人形となっている馬鹿な子供、それがその当時のマルクスに対する私の印象。
ーーー けれども、周囲の人間は決してマルクスに対して悪印象を抱いていてはいなかった。
……その理由は最初私には微塵も理解することが出来なかった。
ただ、側仕え達は王族の権力の源たる契約者にゴマをすっている、としか感じられなかった。
普段のマルクス生意気な態度を見る限り、そう判断することしか出来なかったのだ。
けれど、私のマルクスに対するそのイメージはある出来事によって反転することになった……