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第14話

巫女とは精霊という超的な存在に対し、ある程度の望みを叶えてもらうことができる存在だ。

だが、通常巫女は自身が巫女であることを知らない。

何故なら、巫女は精霊を感知する能力は有していないのだから。


……そしてだからこそ王族は貴族が時には強引に囲おうとする巫女の存在に対し注意を払わない。


何故なら王族はアルセラーンが大精霊の加護と呼ぶ、精霊を感知する能力を有しており巫女など比にならない契約者を直接見つけ、囲うことが出来るからだ。

私もアルセラーンの力を一度でも使うか、誰も見ていなかろうと王宮の近くで顕現していれば、契約者であったことをあっさりと見破られていただろう。

確かに巫女の存在は契約者がいない状況であれば何者にも変えがたい力となる。

だがそれは正直、契約者と比べればあまりにも脆弱でしかない。

それ程の力の差が巫女と契約者の間に空いている。

だからこそ敢えて王族は他の貴族が巫女を囲うのには何ら文句を言うことはなく、代わりに契約者の存在だけは決して外には出さない。


ーーー そしてその契約者の存在が王家の権力の源となっている。


いくら数を揃えようが、巫女しかいなければ力の差は歴然なのだ。

どんな大貴族であれ、王家には歯向かえない。

だから王家はその権力を保つために契約者を囲うだけのために一個人をかえりみることはない。


……そしてその被害者の一人こそが私の母だった。


自身が巫女であることを知らず、今まで普通に暮らすことができていた私たち。

けれども王家が母を契約者、又は契約候補者であるかもしれないと疑ったことで全ては変わった。

……母が契約者で無かったことに失望した王族は、母の存在を隠匿することをやめ、母が巫女であることを周囲に知られ始めていることを知りながら周りにもそれとわかる態度で母の保護を辞めたのだ。


そしてその瞬間、貴族たちは母を手にするために動き出し、私達の生活は大きく狂った。


……それから何があったか、それはもういう必要はないだろう。

私と母は全てを失い、それから新しいアルセラーンという家族を得たものの、また私は王族に狙われる立場に陥ることになった。

だから私はアルセラーンと契約した時、ある誓いを立てた。


この力でもう全てを奪われることなど認めない、と。

貴族であれ、王族であれ、誰でも迂闊に手出し出来ないような、そんな力を手に入れると。



ーーー そして、もう誰にも手出しが出来ないだけの力を今私は有している。




「もう私は誰の指示にも従わない」


だから、私は先程の自分の言葉に呆気に取られている王座の間の中、一切臆することなく国王に啖呵を切る。


「陛下、いえ、国王如きが私に意見できると思わないで。


ーーー もう、私と貴方の立場は反転しているのだから」


……そしてその言葉に、くしゃりと国王の顔が歪んだ。

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