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抜けるような青い空。

絶好の洗濯日和だ。

そんな晴天の下、三人の男女が廃園となった遊園地に集まっていた。

「で、今日は何するわけ?」

女が聞いた。

「今日はこの遊園地で涼んで行こうってわけだ。

 まあ、肝試しだな。」

「肝試しってったら夜だろ。

 なんでこんな昼間っからやるんだ?」

「決まってるだろ。

 夜は怖すぎる。」

「はっ、マジダサいんすけど。」

「うっせぇ。」

いつもの憎まれ口も、こう暑くては敵わない。

中なら日陰があるだろう。

とにかく三人は、中に入ることにした。

「マジあっつ。

 クーラーとかないの?」

「んなところにあるかよ。

 ほら、そこの建物に入るぞ。」

入り口近くに『ミラーハウス』と看板のある建物があった。

入ってみると、鏡の道が出来ていた。

少し狭い。

女はさっさと奥に進んでいく。

「暑苦しいからついてくんな。」

そう言い放つ女に、男たちはやれやれと苦笑いをした。

「じゃあ、少し休んでくか。」

「俺ら何しに来たんだ?

 肝試しにゃちとつまらんぜ。」

「まあそう言うなって。

 どうせ暇だろ?」

「だからって、こんなところで缶詰めかよ。

 いいかげんクーラーほしいぜ。」

建物内は、風が通らずムンとしている。

日が当たることはないが、暑いのに変わりなかった。

「もういいかげん帰ろうぜ。」

「おいおい、あいつ置いてくのか?

 後が怖いぜ。」

―――あああああぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁああああああ!!

バン!!

突如、女の叫び声と何かを叩く音が響いた。

すぐに、何かが割れる音に変わる。

おそらく鏡だろう。

「んだ?」

「行こうぜ。」


二人は女の元に急ぐが、鏡が迷路となって進みづらい。

イライラしつつもやっとのことで女の下に辿りつく。

そして二人は驚愕した。

女が、あらん限りの力で、目に付いた鏡を叩き割っていたのだ。

もう手は血まみれだ。

体当たりもしたのか、肩や額も赤く染まっている。

「おい、やめろ!!」

「どうしたってんだ!」

二人がかりでとめるが、女は割るのをやめようとしない。

「くそ!

 おい、連れ出すぞ!!」

腕を抱えて連れ出すが、女はジタバタと暴れた。

狭い中を暴れるので、出口までの鏡も割れ、血があたりに付着した。

何とか出口に着いて外に出す。

息を切らしつつも、二人は女に声をかけた。

「おい、大丈夫か!!

 おい!!」

女は応えない。

気絶しているようだった。

「なんだってんだ・・・。」

「救急車呼んだほうがよくないか?」

「この状況をどう説明するってんだよ。

 いくら廃墟ったって不法侵入だぜ?」

「わあってる。

 だからってほっとくわけにもいかねえだろ。」

「そりゃそうだが・・・。」

女が暴れた理由がわからない。

暑さで幻覚でも見たのか?

二人は再び建物の中へ入ってみた。

そして絶句する。

鏡は、一枚も割れていなかった。

凄惨に付いていた血もきれいさっぱり消えている。

「うそだろ・・・。」

「ど、どうなってんだ。」

「とにかく、救急車!」

騒ぐ二人の後ろで、女がゆっくりと立ち上がった。

「もしもし、救急ですか!!

 知り合いが倒れて!

 救急車、お願いします!!

 場所、・・・。

 場所は、裏野ドリームランドです!」

女は、ゆっくりと二人に近づく。

ゆらり、ゆらりと。

少しずつ。

ゆらり、ゆらりと。

ゆっくり、二人に近づいた。

そして・・・・・・。





一週間後、女はドリームランド周辺を彷徨っているところを見つかり、逮捕された。

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