勘違いの赤い糸
短編集をリメイクしました。
はる君の朝は一杯の緑茶から始まる。
「らっきー 茶柱が立ってる!」
結構 占いにはまったりしている。
「何だか良いことがありそうな気がするな。今度こそ運命の出会いがありそうだ」
はる君は今日もハイテンションで大学に向かった。
途中でコンビニに立ち寄るまではいつもの行動、だがしかし今日はいつものおばちゃんではなく可愛い女の子が商品を陳列していた。
「可愛い〜!」
はる君はさり気なさを装いながらガン見をしている。
もろ不審人物である。
「ゆきちゃん レジお願いします」
女の子は「はい!」と返事を返してレジに急いで入って行った。
「ゆきちゃんか〜可愛いな〜」
はる君はゆきちゃんの元へ向かった。
『やだなぁ… さっきから私の事じろじろ見てた奴が来るよ。店長の方に行って欲しいなぁ…』
そんな内心をおくびにも出さず営業用スマイルを貼り付けるゆきちゃん。
「いらっしゃいませ(さっさっと)はい500円になります」
はる君は500円硬貨をゆきちゃんに手渡した。
バチバチバチッ
二人の間に火花が飛んだ。
じぃぃーーーん、はる君は運命の稲妻に感動した。
「やったぁ、やっぱり僕達は運命の赤い糸でむすばれているんだよ。交際を前提に結婚して下さい。」
そこは『結婚を前提に』だろうと店長は内心でつっこんだ。
しら〜〜〜、ゆきちゃんは冷ややかに答えた。
「静電気です!次のお客様、どうぞ!」
運命の出会いは呆気なく散って行った。
はる君、ニ十歳
無駄に 強力な静電気の持ち主だった。