本番前の確認事項!
まず始めに。
この物語を語る前に、覚えておいて欲しい言葉が三つある。
ごくごくありふれた言葉だから、そう難しく考えずに聞いてほしい。
一つ目は『魔法』。
これはいわずもがな、ご想像の通りだ。
メルヘンやおとぎ話などのファンタジーでよく出てくる、難しい理屈や深遠な原理があるわけでもなく、ただ漠然と結果だけを残す、神秘的で超常的な力のこと。
たとえば。
何もないところから火を出したり、水を出したり――あまつさえ隕石を落としてきたりする――なんでもありな魔の法。魔法。
この広い世界には、それらを使って悪さをしている奴がいたりする。
まあ。
それは物語が始まればすぐにわかることだから、ここではあえて説明しない。
二つ目は『魔導書』。
それは読んで字の通り、魔法の使用方法が記されたものなのだけれど。
ただ一つ面倒なことに、それに干渉すると自動的に術式が発動してしまい、実行犯――つまり干渉した人間に対して、特殊な能力を強制的に付与してしまう、という厄介なシロモノなのだ。
簡単に言うと、
【干渉】 → 【強制付与】 → 【魔法が使えるよ! やったね、たえちゃん!】
という具合かな。
本当にたまらない。
もし魔道書を見つけたら、千切って燃やすか、最悪トイレにでも流して欲しい。
僕も忙しい身なので、協力してくれたら、とても嬉しい。
そして最後が『封魔士』。
生身の人間が唯一魔法に対抗できる手段が『封魔術』で、その如何わしくも胡散臭い術を使いこなす人のことをそう呼ぶ。
かく言う僕、こと『風間ジンタ』がその使い手だったりしたりするのがこの物語で。
そんな僕がややあって、その『魔導書』を破壊しに行くのが、この物語だったりする。
ここまでオーケイ?
……さて。
三つとか言いつつ五つも出してしまったけれど、そんな些細なことは置いておこう。
迷惑ついでに、僕はもう一眠りするとするから。
物語が始まったら起こしてくれると嬉しい。
それじゃあ――おやすみなさい。
ぐう……