小牧山城攻略戦9
「本陣はここかー!!」
そう雪姫は叫びながら、葦毛の馬に乗りながら飛び込んできた。彼女は幾多の敵兵を退け、遂にここまでやってきたのだ。他の雪姫の部隊はまだ追いついていない。彼女一人で乗り込んできたのだ。
一番奥に床几に座る日根野弘就がいる。彼は悠然とそして堂々としており、まさに総大将という雰囲気がある。顔にはどこか哀愁を漂わせている。配下の部下達も動きがない。
(あの女が北畠具教殿の娘か。単身乗り込んでくるとは流石に勇猛果敢。だがこのまま終わらん・・・)
日根野弘就はともかく敵兵を少しでも足止めさせなくてはならない。それが彼の残された使命である。飛騨守や不破達が逃げる時間も稼がなくてはならない。
「貴殿が総大将ですか。恨みはありませんが、これまでです!!」
そう言った後、雪姫は槍を持つ手に力を込める。その時であった、苦無のような小刀が自分に向かって飛んできた。彼女は瞬時に槍を振るい、それを叩き落とす。
「何者!!」
ふと遠くから人影が現れた。それを投げた梅津玄旨斎である。そして彼はニヤリと笑う。
(なんだこの妖しい雰囲気を持つ男は・・・それに殺気を全然感じなかったわ・・・)
「ふっなるほど、なかなか反応が鋭い。ならば!!」
そう言い放ち、彼は猛然した勢いで雪姫向けて走り始めた。その速さはまさに韋駄天の如し。
「くっなんて速さ。!!そこ!!」
雪姫は突っ込んでくる梅津玄旨斎に向かって、思いっ切り槍を突く。だがそれは僅かの差でかわされてしまう。
「しまった!!なんて速さ!!」
「もう遅い!!なにかも遅いわ!!死ねい!!」
槍を交わした梅津玄旨斎は、手に持った雪玉を雪姫目がけて投げつけた。
「そんなもの!!くっ、中に砂が!!卑怯な!!」
「勝てばいいのよ、小娘!!」
そして梅津玄旨斎はジャンプして雪姫に空中で切りかかった。砂が目に入りながらも、梅津玄旨斎のその剣を雪姫は自分の槍を急いで引き戻し、辛うじて食い止める。
「そう簡単に死ねない!!」
「ええい、しぶとい!!落ちろ!」
梅津玄旨斎は、雪姫のみぞおちを思いっ切り蹴りこむ。その衝撃で雪姫はついに馬上から落ちた。その落ちた雪姫に梅津玄旨斎が切りかかる。槍は先ほどの衝撃で彼女の手から離れており、なにも持っていない。
「今度こそ、その首もらった!!」
梅津玄旨斎の刀が再び雪姫を襲う。その時、雪姫の鎧の籠手の部分から小刀が飛び出し、梅津玄旨斎の剣を食い止めた。
「こんなこともあろうかと!!お父様が仕込んでおいたのよ!!」
「ええい、これだからファンタジー戦国物は嫌いなんだよ!!だが、どこまで持つかな!!さあさあ持つかな!!」
梅津玄旨斎の刀に動きに、雪姫は必死に食い付き凌いでいる。だがじりじりと押されて始めている。
そもそも女の雪姫としては、こう肉弾戦となればさすがに分が悪い。槍の間合いならいいが、こう接近されると・・・
「さっきまでの威勢は!!消えたか!!」
「・・・私は絶対に負けない!!」
それに梅津玄旨斎の中条流は、短い刀を使う事で接近戦に異常に強い。次第に雪姫が力負けしていくのには、仕方がない所である。
その二人の闘いを遠目で見ていた斉藤家の足軽達は、いよいよ手柄をあげるチャンスに写った。
「これなら俺達にでも倒せる。あの女の首を貰えば、恩賞で一攫千金。ビックマネー!!」
「しかし美しい女だ。殺す前に色々あれこれなにそれ、ここには書けないような事をしてやる」
「おう!!あの女騎士にくっ殺せ!!と言わせてやろうぜ」
足軽達の功名心と邪念の高まり、ますます膨れ上がり遂にそれは弾けた。
「おーし、一斉に掛かれ!!」
遠目で見ていた斉藤家の足軽達は、雪姫に向かい始めた。雪姫はそれらをしのげるのであろうか、それともくっ殺せ!!という展開になってしまうのであろうか・・・
!!マーク使いすぎた・・・




