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蜂屋頼隆の決断

斉藤家の大軍が接近中!!


この第一報が真っ先に届いたのは、小牧山城であった。物見やぐらにいたおっさん兵士が大急ぎで馬を操り、ここまで馳せ参じたのだ。


そして今ここは蜂屋頼隆を城代にした少数の兵がいるだけである。兵数はおよそ三百。


この知らせは城の中を大混乱にさせるのに十分であった。皆はかなり狼狽えたが、とにかく城代のもとにあつまる。


「城代!!いかがいたしますか!!」


そんな狼狽えている兵とは対照的に、蜂屋頼隆はのんびりとした感じで欠伸までしている。


「どうするったって・・・ここで踏ん張るしかないじゃん」


「ええぇぇぇぇぇ!!!敵兵は万に近い数との事。とても支えきれないです!!!」


兵達は騒めきが止まらない。


「逃げた所でどこにいくの。俺達、旧織田家家臣はここまで残れたのも奇跡みたいなものだぜ」


「・・・では斉藤家に寝返りは・・・」


蜂屋頼隆は手を横に振った。


「あーダメダメ。あんな野心丸出しの斉藤義龍なんかに降りたら、いいように使われてポイ捨てだ」


城兵達は静かになり始めていた。どうも本気で戦う気のようだと・・・


「・・・では城代は徹底抗戦をお望みで?」


蜂屋頼隆は後ろをチラッと後ろを見た。そこには純白の雪姫の着物がかけてある。


「俺達よりずっと若い姫がよろしく頼むと言われてさー、おめおめと逃げられないじゃん、男なんだからさー」


一瞬の静寂・・・そして彼らは口づちに声を上げた。


「確かに雪姫様は我ら旧織田家家臣団にも対等に接していただきました。住民達の信頼もあつうございます」


「それに対し斉藤義龍は嫡男でありながら実の親をも討つ鬼畜でございます!!」


「城代が腹をくくられましたなら、我らはそれに従います!!」


エイエイオーーーー


雄叫びが城の中を駆け巡る。こうして評定は決した。蜂屋頼隆がボソッと呟く。


「座っているだけで良いと思っていたが、ふん、運がいいのか悪いのか・・・勝てるかなこの戦い・・・いや負けるだろうがどこまで時間を稼げるのか・・・」


彼は己の数奇な運命を笑うしかなかった。およそ一番戦から離れている所にいるつもりだったのに、いきなり最前線のど真ん中に立たされているのだ。


もう時間はない。半日もたたずうちに斉藤家の大軍が押し寄せてくるのは必定であった。それに対し、小牧山城の兵はかなり少ない。


が、そんな事ばかり言ってられない。蜂屋頼隆は大慌てで城内の兵の配置に急いだ。救いは雪姫が城の守りに置いていった五十ばかりの火縄銃である。


小牧山城の戦いは始まりを告げようとしていた・・・


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