表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/154

服部友貞の怒り

「雪姫様はどうされたのだ・・・まさか病気でも・・・」


「なにか動けぬ事情でもできたのであろうか・・・」


部下達が様々な事を言い合っている。そして北畠具教が雪姫の遅延に困惑している頃、もっと困惑・・・いや激怒している所があった。


桑名から川を越して東にある蟹江城。蟹江城は今でいう愛知県蟹江市にある城で(そのままで説明になってないな)、清州と桑名の中間点にある重要な支城である。今、ここがもっともホットになっているのだ。


城の中には髭もじゃの太ったおっさんがイライラしながら座っている。彼こそが蟹江城主の服部友貞だ。


服部友貞は、尾張地侍ながらいち早く北畠具教を支持。織田家との戦いが終わった後、その功から加増されていた。


いまや居城の蟹江城に精鋭四百ほどの兵士を集められるほどなっている。そしてその手勢を持って守備に当たっているのだが・・・


「遅い、遅いぞ!!雪姫様は何をしている。このままでは支えきれんぞ」


敵方の斉藤義龍は海津に陣を構え、そして川を越えて桑名を伺う動きを見せている。北畠本隊はこれに対応する為、桑名で迎え撃つ算段をしている。


ただ、敵が尾張西部に陽動部隊、もしくは本隊を向ける可能性は低い確率ではあったが否定できなかった。そうなった時、いくら城に籠ろうが四百では心もとない。


その為、尾張北部にある小牧山城の雪姫隊千五百がこちらの守備に加勢することになっていたのだ。合わせて二千弱の兵と蟹江城があればそう簡単に落ちることはない。


だが北畠本隊がとっくに桑名に布陣しているのにもかかわらず、雪姫隊の蟹江城入城は遅れに遅れており、いまだ定かならず。


その時、一人の侍が服部友貞に駆け寄った。


「おお、お前は雪姫様の部隊に送った使者ではないか!!どうであった、いつここに来るのだ」


服部友貞は我慢出来ず、雪姫隊を探させる為あちこちに兵を送り込んでいた。その中の一人が帰ってきたのだ。


「そっそれが・・・雪姫様の部隊は小牧山城と清州城との間で停滞しております。蟹江城入城はもう少し遅れるとのこと・・・」


「なっなぜじゃ!!なぜここに来ぬ!!!」


「雪姫様はこちらに向かうのを反対しておられませぬが、細野藤光様がどうしてもうんと言われませぬ」


服部友貞の顔は真っ赤になっていた。これではもしもの時、我らだけではとても支えきれないからだ。


「こうなったらワシ自ら怒鳴り込みに行く。供は最低数でよい、案内せい!!」


服部友貞は立ち上がり、スタスタと歩き出した時、部下の一人がこう言った。


「・・・もしもの時は、斉藤家に鞍替えするのも手でございます・・・」


服部友貞はその部下を睨み付けた。


「ワシは北畠具教様に過分な恩顧を受けておる、軽々に裏切れるか!!それに殿のあの性格をワシは気に入っている。斉藤義龍などは自分の為に親でも殺す男、どうせ好きに使われて捨てられるだけよ!!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ