表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/154

誤解の始まり

「終わらん・・・」


「あんたが溜め込んでたからでしょ、さあ書いて書いて」


市姫が北畠具教を叱り付けながら、感状書きを手伝っている。もともと筆を使って文字をほとんど書いたこともないのだから、全然進まない。


結局文章の殆どを市姫が書いて、花押だけ北畠具教が書くという事になり、彼女の負担たるや並大抵のものではない。


それでも市姫の書くペースは衰えない。それだけ彼女の能力が高い証左である。しかしそれを持ってしてもこの量は凄まじかった。


襖を直すと言いながら、モブはうまく逃げ出した。が、北畠具教は当然逃げることも出来ず、結局一晩中かかったのである・・・


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・


次の日の朝、林秀貞は頭を抱えながら清洲城内を歩いている。外は朝の爽やかな風が吹いている。しかし酔っ払いにとってはたまらない朝だ。つまり二日酔い。


「うっ頭が痛い。ガンガンする。流石に飲みすぎた・・・はやく殿を迎えにいかないと・・・」


彼の向かう先は殿の元であった。結局、殿は来なかったので向かい行っていた。



「・・・うーーん、いつのまにか寝てしまったのね・・・」


市姫は、大きく伸びをした後、ウトウトしながら目を擦った。どうにもこうにも頭が上手く回転できていない。記憶が断片的になっている。


「たしか飲み会のあとに・・・この部屋に来て・・・なんかドサクサのうちに秘書になって・・・一晩中書類書いていたような・・・」


ふと見ると、イビキをかきながら北畠具教が大の字になって寝ている。どうも二人とも書き終わった後、寝落ちしたようである。彼女の着衣もそのまま寝てしまったためか乱れている。


(あらいやだ、私、髪も着物もグチャグチャじゃない。こんな所人に見られたら・・・)


その時であった。突然、部屋の襖が開いた。


「殿、おはようございます。そろそろ評定をしますので・・・」


その人物は林秀貞であった。彼は朝から奉行衆の集まりに北畠具教を呼ぶため、痛い頭を擦りながらこの部屋に立ち寄ったのだが・・・


「いっ市姫様、なぜここに・・・こっこれは・・・もうそんな関係になっているとは・・・」


寝ている男と寄り添う女、これはもうどう見てもアレがソレでつまりそう見えるのだ。


ワナワナと市姫が震えていたのも一瞬であった。彼女の羞恥心は爆発した。


「!!男は出て行けーーーー!!!」


「わあああ姫、落ち着いて!!」


狼狽する林秀貞にあらゆる物が投げつけられた。それこそ色々な物を。なんとか交わしていたが、流石に持ち堪えられず、顔面に硯(危ない!)があたりその場にひっくり返ったのであった・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ