議題3、三河方面とその他について
書くことがまだ色々あったんですが、説明ばかりだし話も進まないと思いかなり短縮して書きました。
「では、次に三河方面についてです。松平元康が岡崎城に入り、これは今川から独立をしようとしていると思って間違いないと思われます。これに対する話し合いをしまーす」
モブが再び武将達に語りかけた。みんなそれを素直に聞き入っている。くそっなんか主導権がこいつに奪われているような気がするのだが・・・俺も絡まないと当主だし・・・
「モブよ、史実だと信長は松平元康と同盟を組んだんだろう。俺たちも組めばいいだろと思うんだが」
「殿・・・我々は今川家と同盟組んでいるんですよ・・・」
俺はあっと思わず頭に手を抱えてしまった。同盟相手から独立しようとしている者と手を組めば、そりゃ相手は怒り狂うどころではない、即手切れになり合戦になりかねない。
「今川家は武田、北条と三国同盟を結んでいます。下手したら数万の大軍が押し寄せてきますよ・・・」
「殿、いっそ松平を攻めて三河を分捕りますか?」
柴田勝家は鼻息荒く主張した。しかし何でこいつらこんなに血の気が荒いんだよ、まだ家臣になったばかりじゃないか。俺は平穏にしたいんだよ!!
「三河は今川家の支配からまだ独立していない。つまり今川家の家中の問題に介入する事になる。そんな事すれば今川と一戦やることになる」
柴田勝家のその勇ましい意見は、林秀貞など穏健派の反対が強く退けられた。あぶないあぶない、なるべく大きな戦なんてしたくないからな。とにかくここは
「・・・同盟も攻めるのも駄目なら、このまま温かく見守ると言う事でいいな。はい、もう締め切り!!これで決まりっという事でこの件の責任者は・・・」
北畠具教からこんな提案が出され、そのまま強引に押し通した。実に中途半端でハッキリしない対応だが、すぐにでも松平は尾張に攻めてくる訳がないのは家臣皆分かっていた。おそらく松平は今川との合戦があるのでそれどこではないはずだ。
(まあ、ここは無理して三河を攻める必要はあるまい。それより斉藤家よ・・・)
家臣達の多くはこんな考えであったため、この北畠具教の消極的守備案が採用された。早速地図上の城の位置を確認し、再び彼は家臣達を見回す。
(まず攻めてこないと思うけど、もしもの事を考えて武力はあったほうが良いな。あとは土地勘があるのは織田家武将だな。後大事なのは勝手なことをしなさそうな人。つまり・・・)
・・・
・・・・・・
北畠具教は一人の男に自分の扇子を向けた。
「えーと森可成さん、あなたにそうだな・・・沓掛城でいいかな、城主にするんで三河方面の守備を任せたい」
突然の指名に驚いた彼は、狼狽のあまり大汗をかき始めた。なにせ自分はしばらく冷や飯食いだと思っていたからだ。
「わっ私にですか!!私は桶狭間で貴殿のお命を狙った張本人ですよ、そんな大任をお任せしていただけるのですか」
「そりゃそうだけど、終わった事だしいいよ。あの時のあなた凄い強かったし、あの強さなら攻められても押し返せそうだし・・・でもなんかまずかったかな。貴方が一番適任かなーと思ったんだよ」
「いえそんなに評価していただき・・・分かりました、その任謹んでお受けいたします。」
森可成は土下座するかのように深々と頭を下げた。まわりの家臣も驚いている。
(まさか森可成にそんな任を与えるとは。命を狙った者は許せないという感情はさらさらないのだな。我が殿は懐深くて家臣の実力をよく見極めておられる。それに織田武断派の主力の一人をこれで取り込めるかもしれん、なかなかの知恵者よ・・・)
家臣団の後ろのほうで神戸具盛はそう考えていた。それはつまり血筋より実力を重んじるという事になるので、活躍さえすれば出世が出来る。
(次の戦いこそ神戸家が大手柄を立てて、出世しなくてはならん)
それは他の家臣達もそう思っていた。
「えーと後は近江の六角義治殿と伊賀と大和方面ですね、まず六角家なんですが北近江の浅井家に寝返った肥田城を攻めているみたいです。それに縁戚でもありますし攻めては来ないと思いますが一応用心した方がいいかと」
「えーとたしか僕の奥さんの実家だよね。浮気に怒って実家が攻めてるかと思った」
「そうならないように奥さんを大事にしてくださいね」 (ハート)
「なにハートマークだしてるんだよ、側室取ったばかりに夫婦関係が悪化しそうなんですが・・・」
モブはそんな北畠具教をニヤニヤと笑いながら次の話題に話を移行した。いちいち俺を挑発する男だ・・・
「あと伊賀も独立した小勢力が入り乱れていて、伊勢まで攻める勢力はなさそうです。大和は三好家の松永久秀が興福寺などの寺社勢力を押さえ込み、油断なりません」
いきなり主人公の弟の北畠具親が大声をあげた。冷静な彼が何事かと家臣達は思った。
「兄上、興福寺は私が僧侶時代に修行していた寺でございます。松永は許せません!!」
あわてた鳥屋尾満栄がなだめに入る。ここで感情のままに動いては大変な事になりかねない。
「しかし北畠具親殿、松永は三好家の重臣でございます。三好家は畿内おろか四国にまで進出している大勢力でございます」
その後も鳥屋尾満栄は三好家の強大な力、そしてこちらの戦力がまだ揃わない事を説明しする。それに北畠具親は異論を唱えなかった・・・彼も重々理解はしていたが、おもわず感情が爆発したのである。
「それに畿内の天地は複雑怪奇でございます」
「なんかどっかの平○騏○郎みたいな表現だな・・・時代が合わないけど。でも下手に畿内に介入するとスーパーめんどくさい事になるのは俺もなんとなく分かったよ」
兄であるこの俺、北畠具教もちょうど良く分かっって良かった。
「ですので大和方面も守りを固める事のみでよいと思います。畿内進出はもう少し地力をつけた後でよろしいかと」
「うんそうしよう、僕も戦うのはしばらくしたくないし・・・これで大体外交は終わりかな・・・ふーやれやれ」
北畠具教が大きく息を吐いた瞬間、声がかかる。
「殿、私から進言したい事がありまする」
木造具政、清洲城をヒャッハァーしてグチャグチャにしたその人である。当然この話もヒャッハーでグチャグチャになるわけで、そして結果的にこの話に乗る羽目になり、尾張の国が危機となっていくのである・・・




