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議題2 対斉藤家問題

「とは言ってもなんにもないと説明しにくいと思うので、地図を広げます。皆さん、よく見えるように座ってくださいーー」


「今度は学校みたいな言い方かよ。本当に展開がコロコロ変わるな、この作品は!!」


北畠具教がモブに文句を言うが全然聞いていない。目の前で巨大な地図が広げられ、それを取り囲むように武将達が座った。


「ああもういいや・・・じゃあ皆に聞くけど、さっきモブが言っていたかのように斉藤家がやばいんだよね」


もうほとほと文句を言うのにも疲れてた北畠具教が、開き直って聞いた。家臣の中から鳥屋尾満栄がそれに答えた。


「そうですな、もともと尾張進出の素振りを見せていましたし、当主斎藤義龍はかなりの野心家でございます。仕掛けてくる可能性は高いものかと」


斎藤義龍・・・父斉藤道三は一介の油売りから美濃一国を支配するほどまで駆け上がった「美濃の蝮」そんな父を攻め落として乗っ取ったのが、息子の斎藤義龍である。てかこの時代、親子でも殺しあう事が多いな・・・


「やだなそんな危ない奴。もう戦はしたくないんだが・・・」


「さすが殿、ご明察にございます。この大戦で北畠・織田の戦力は疲弊しておりますが、美濃斉藤家は無傷であります。それに本拠地である稲葉山城は難攻不落の名城。今攻めても勝ち目はございません」


鳥屋尾満栄は満足したかのようにウンウンと頭を動かしている。完全に北畠具教は切れ者と勘違いしている。


「そしたらこっちは守りを固めるしかないのか・・・なあモブ、史実だと信長は美濃攻略してるみたいだけど」


「史実だといまから7年後の事ですな。信長でさえ7年かかったんですから、殿だと100万年ぐらいかかるんじゃないんですか」


「うっうるさい!!とりあえず信長の真似をしよう、そうしたら最終的に美濃は何とかなるかもしれない」


「しかし安易な考えですな。まあ余計な手を打つよりそれも一考ですが・・・とりあえず史実だと美濃との国境に近い小牧山城に拠点を移動していますが」


「じゃあ俺もそこへ・・・ちょっと待て、俺がそんな所に行ったら逆に攻められないか?やっぱり武力が高そうな人を置いておいて、自分はその後ろに居た方がいいか・・・」


「さすが殿、経験を積み成長なされましたな。ご自身のへタレさを良くご存知だ」


「いやーそれほどでも・・・って褒めてないだろそれ。まあともかく武力が高くて裏切らなさそうな人はっと・・・」


ぐるりぐるりと家臣達を見回す。さすがゲーム世界、家臣達の能力値が自分にだけ見えている。これを使って人を決めよう。


まず戦闘力があって、それで裏切らなくて、勝手に攻めて行かない人は・・・


・・・


・・・・・・


「北畠雪、そなたに小牧山城をどーんとあげちゃう。そうだな石高はよく分からないけどどーんと一万石ぐらいでいいかな」


家臣達がどよめく。たしかに大手柄を立てたが、いちなり城持ちで万石取りとは。羨望と嫉妬の目線が雪姫に注がれる。


「父上、いくらなんでもそれは頂きすぎです。私は出世など望んでいません」


驚いた雪姫が父親である北畠具教の申し出を断り続けていたが、鳥屋尾満栄がそっと雪姫に耳打ちした。さすがは北畠家の重鎮、その辺の気配りは流石である。


「・・・雪姫様お受けくださいませ。お父上である北畠具教様にも考えがあっての事。斉藤家を警戒なされての事に加え、おそらく犬山城の織田信清に楔を打つ考えがあると思われます」


織田信清・・・織田信長の従兄弟にあたり、犬山城の城主。この世界の桶狭間の戦いには傍観的な態度で参戦せず戦力を温存。信長の兄弟、子息は軒並み仏門に入れられたが、従兄弟までは連座を免れて、私領を安堵されている。


なに、突然信長の従兄弟が出てきたりして、だったら織田家はなくなってないじゃん、っていうご指摘があるとは思いますが、流石に織田と名乗る人々全部しょっぴくと尾張がスカスカになっちゃうんで・・・作者も忘れていたし (イイカゲン)


(雪を前線に押し出すのか・・・兄上は流石北畠家当主、獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすというがなかなか出来ぬことよ)


主人公の弟、北畠具親は心の中で呟いた。実の娘だけに安全な南伊勢に領地でも与えると思ったが、最前線に置くとは・・・よほど信頼している証であり、弟の自分はそれをしっかりと補佐しないといけないと感じた。


(ただ急な出世は家中の妬みを買いかねん。特に次期当主予定の嫡男北畠具房がなんと思うか・・・)


様々な思い、羨望、嫉妬が渦巻く中、結局雪姫は申し入れを受けた。それは対斉藤家の矢面に立つと言う事を意味していた・・・

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