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織田家相続問題決着編

「うんよし、即採用!!」


「・・・殿、鳥屋尾満栄殿はまだなにも言ってないですよ・・・」


モブが呆れ顔でそう言った。


「まあいいじゃん、鳥屋尾さんが思いついた案ならきっと良い物に違いないよ」


「おお殿、私の事をそこまで信頼されておられるとは・・・鳥屋尾満栄、感謝の極みにございます」


「・・・どうせはやくこの話し合い終わらせたいだけでしょう」


感激して涙を流す鳥屋尾満栄とは対照的にやれやれ顔のモブ。二人は両極端な表情を見せている。


「まま、その鳥屋尾満栄さんの思いついた腹案とやらを言ってくれよ」


「まず織田信長殿のご兄弟、ご子息は助命するかわりにすべて仏門に入ってもらいます」


家臣達がどよめく。さっそく森可成が反発する。織田派の急先鋒だ。


「それでは織田家は断絶してしまうのでないか、鳥屋尾殿。血の繋がっていない者を養子でいれて織田家を継ぐというのはとても妥協できぬ!!」


鳥屋尾満栄は咳払いをした後、大きく息を吐いた。ここからがこの案の妙だからであるからだ。


「織田信長殿の妹君、犬・市の両姫が北畠具教様の側室に入ってもらい、男子誕生のおりにはその子に織田家を継いでいただくのはどうでしょうか」


「なんと!!鳥屋尾満栄殿はそのような考えをもっておったか!!」


再び家臣達がどよめく。それぞれの武将が近くの者達にヒソヒソと話を始める。とくに織田派の武将達は忙しなく折衝を始めている。


「・・・森殿、ここらあたりで妥協するべきではないか。なにせ一族は助命されるし織田家も残る。これ以上は向こうも譲らないだろうよ」


「・・・しかしですな柴田殿」


「信長様の妹君の子なら信長様の血も色濃く残る。それに北畠具教様の血も入ればそうやすやすとお家断絶はされまいに」


「・・・そうですなこれが落としどころですかな・・・」


柴田勝家と森可成の話はついたようだ。織田家の中で強硬派でならした森可成が納得したので、程なく他の者も同意した。林秀貞などはもともと和平派などで問題はなかった。


これで織田家旧臣達は落ち着いた。あとの問題は口煩い木造具政が納得するかどうかであるのだが・・・


(はてさてどうしたものか・・・この案に強行に反対しては鳥屋尾満栄としこりを残す。そうすれば北畠の家臣達からも不興をかうだろう。そうするともし俺が謀反を起こした時についてこなくなる。それに織田家が残ろうと潰れようとも俺には関係ないのだし、ここは貸しをつくっておいて後で実を回収するか・・・)


「・・・鳥屋尾満栄がそこまで言うのなら、大きな心で受け入れよう。ただしこれは貸しだからな。しつこく言うが貸しだからな、よく覚えておけ」


さて纏まりつつある家臣達の思いとは裏腹に、北畠具教の娘の雪姫の心中は複雑であった。非常に難しい顔をしている。


(たしかに揉め事を収めるのにはこれがいいのでしょうけど、ああ・・・母上になんと言ったらいいものか・・・)


しかし雪姫とて強行に反対は出来ない。ここで蒸し返せば鳥屋尾満栄の面子を潰す事になるし、父上も苦境に陥るであろう。それにこれ以上の考えが思い浮かばない。


「・・・雪もこの案に同意いたします・・・」


これで家中の武将達の意見は集約された。みんな安堵な顔をしている。最大の難問を乗り越えたのだ。


し・か・し、ただ一人強行に反対するめんどくさい人がいた。


「やだぁぁぁぁ!!!俺、奥さんに殺される!!!!」


「殿みっともないですよ、いいかげん諦めてください。あなたさっき採用って言ったじゃないですか」


北畠具教・・・主人公その人である。モブがなだめている。


「もういい大人なんですから・・・そうですね、シミュレーションをまたしてみますか」


「おいこら俺はやるとも言ってないぞ・・・うわぁぁぁぁ目の前が・・・」


北畠具教の意識が遠くなっていく。そして再び意識が戻った。



「・・・はっここはどこだ、またシミュレーションの世界なのか」


北畠具教がそう思ったのは僅かな間であった。たちどころにマズイ状況にあることを悟る。目の前に般若の顔をした北の方・・・つまり奥さん正室が立っていたからである。


「いや違うんです、僕は断った・・・ギャァァァァ」


北の方は北畠具教の襟口を力任せに締め上げる。とても華奢な女性の力とは思えない程だ。イタイイタイ!!


「私のいない間に若い女に手を出して!!それも二人!!!この伊勢の狩○英○!!!!ゲスの極みめ!!!」


「奥さんその発言は小説的に危ない・・・お助けを!!!話せば分かる!!!」


「問答無用!!!」


襟口を締め上げる力はますます強くなる。北畠具教は思わず絶叫した、この世の終わりを感じて。


「ぎゃゃゃぁぁぁぁぁぁぁぁ死にたくないよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」



・・・


・・・・・・



「ハァ!!!もとに戻ったか・・・また死ぬかと思った。今までで一番怖かったぞ」


思わず首筋を触ってしまったが、どこにもキズ一つない。しかしリアルすぎるな・・・


「殿、いかがでしたかな。意外となんとかなってたでしょ。ト○ブルみたいな和気藹々ハーレム物みたいな感じで」


思わずモブの首を絞めてしまった。この野郎、適当なことばかり言いやがって!!


「どこがだよ修羅場じゃないか!!!ス○ールデ○ズのEDみたいだったぞ!!!!!」


二人がみっともない争いをしていると、突然神戸具盛が立ち上がった。一体なんだと北畠具教は思い、モブと争っている手が止まった。


「委員長、審議を打ち切り採決をおこなうべきとの動議を提出します」


「おい一体なんだ、委員長って何だ!!」


モブがクルリと正面を向き、話し始めた。


「神戸具盛君の動議を認めます。審議を打ち切り採決を取ります」


「なんでモブが委員長役やってるんだ、だいたいなんで国会風なんだよ時代背景全然違うだろ!!!!」


モブはそんな北畠具教を一切無視している。


「殿がどうなっても構わないから側室を二人増やす法案に賛成の諸君の起立を求めます」


「なんだその身も蓋もないもない法案は!!ってかやめさせろ!!!」


そんな北畠具教の空しい叫びとは裏腹に、家臣達は次々に立ち上がった。


「賛成ーーー」


「異議なしーーーーー」


結局、主人公である北畠具教以外全員が立ち上がった。残酷な結末である。


「賛成多数!よって当法案は可決しました」


家臣皆が拍手でもってそれに答えた。みんな嬉しそうだ、涙を流している者もいる。


「良かった良かった、これで織田家は生き残れる」


「雨降って地固まるとはこのことよ」


皆納得しているが、まだ北畠具教は揉めている。なにせ奥さんである北の方に説明するのは自分だからだ。


「おいモブ、なんとか止めさせろ!!」


「そんな事言ってももう手遅れですよ。それにタレ目であらあらとか言っちゃうお姉さまキャラの犬姫と、金髪ツインテの勝気な市姫を傍に置く事は女性キャラが少ないこの作品的には正解ですし」


「そんなの作者の都合だろ!!!!」


「はいはいもう決まったんで。次の外交・攻略目標選定の時間がなくなっちゃうんで。はいもうやめ!!では次の外交問題に移ります。まずもっとも警戒すべき斉藤家の動向について・・・」


必死の北畠具教を置いてけぼりに次の議題に移っていった。なにせまだまだ決めなくてはならないことが大量にあるからだ・・・

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