二つの選択肢
「叔父上、いい加減になさいませ。殿の御前でありますよ」
「雪が甘いこと言うからこうなるのよ。源平の故事からも血を絶たなくてはならん。なぜ分からんか!!」
さてここで言う源平の故事とは、鎌倉幕府を起こした源頼朝の事である。父親である義朝が平治の乱で破れたとき、命を救われ伊豆流罪になる。そして力を貯め、最終的に平氏を討ったのである。
つまりは、ゆくゆく危険になる存在になる可能性がある者は除外する事が必要というのが木造具政の主張である。
雪姫達北畠穏健派は、今この場で無用な混乱を今起こすのは、尾張統治の混乱と外敵の侵入を招きかねないという主張である。
お互いなかなか引き下がらない。そんな中、モブがツンツンと北畠具教を突っついた。
「ほら、殿。さっさと纏めて下さい」
「簡単に言うな!!しかし俺が決めないといけないしな・・・ちょっと話を纏めてくれないか」
「はいはい、一応この世界はゲームの中っていう設定なんで、選択肢を出しますね」
モブがそう言うと北畠具教の目の前に、大きなコマンド画面が現れた。どうもそれは他の者には見えていないらしい。
「・・・さてさてどんな事が書いてあるのかな・・・」
甲案・・・「俺は第六天魔王!!俺のこの血がより血を求めるのだ!!!」を選択。織田一族を皆殺しにする
支持率アップ ・・・北畠武断派
支持率ダウン ・・・北畠穏健派
支持率大幅ダウン・・・織田旧臣(危険水域)
民衆評価 ・・・カオスに3ポイント移動(我が殿様は恐ろしいお方だ)
尾張領内での反乱発生率大幅アップ
乙案・・・「僕達は宇宙船地球号の乗組員!!人類皆兄弟!!!」を選択。織田一族の命を助け、配下に起用。
支持率アップ ・・・北畠穏健派、織田旧臣
支持率ダウン ・・・北畠武断派
民衆評価 ・・・ロウに3ポイント移動(我が殿様は甘いお方だ)
数年後の尾張領内での反乱発生率大幅アップ
丙案・・・「困った時は相談!!報告連絡相談のほうれんそうが大事!!!」を選択。家臣の意見を聞く。
こちらの要望を伝え、家臣の一人に纏めさせます。
選ばれた家臣の人望が低いと上手くいきません。
取りまとめた話を拒否すると、家臣の忠誠度がダウンします。
「うーんこの3つのなかから選ぶのか・・・なんか甲も乙も反乱が発生しそうなんだけど・・・」
「このゲームはシミュレーションの機能もあるので起動させます」
「おいこら、勝手に話を進めるな・・・うんなんか目の前が真っ暗になったぞ!!」
北畠具教の意識が遠くなっていく。そして再び意識が戻った。
「・・・うんなんだここは。さっきと同じで清洲城の大広間か・・・」
俺が周りをキョロキョロすると、先ほどまでいた家臣達が一人もいない。やはりこれはシミュレーション中なのか・・・
「殿、一大事にございます!!」
いきなり目の前に家臣が現れてこう報告した。さすがシミュレーション、展開が速いぞ。
「なになにどうしたの?」
「柴田勝家はじめ織田残党達が犬山城で蜂起。こちらに向かいつつあります」
「えーーーなんでそうなったの!!」
「それは・・・殿の仕打ちに耐えられなかったのでありましょう」
そうこうしている内に、今度は鎧を着た侍が現れた。より危険度が増しているようだ。
「美濃の斉藤家の軍勢が国境を越えました。およそ七千の兵が清洲城に向かっており申す。どうも織田勢と密約がある模様。両者は戦闘しておりません」
そうこうしている内に、今度は鎧に矢が一杯刺さった侍が現れた。おいおいやばくね。
「一大事にございます。木造具政様の軍勢が伊勢に引き上げました。密使を捕らえた所、伊勢一国の割譲の約束があるもよう。これに神戸具盛様達も同調の動きを見せております!!」
そうこうしている内に、今度は血に塗れた侍が現れた。おいおい本格的にやばいって。
「雪姫様の軍が食い止めようとしておりますが支えきれません。助命の約定破りがあり兵が離反している所でもう持ちません。お覚悟を!!」
「殿、ちょっといいですか」
「おおなんだモブ!!いきなりあらわれて」
いきなり目の前にあらわれたモブは刀を抜いている。そしてその刃をこちらに向けている。
「もはやこれまでゲームオーバーですな。かなり痛いですが介錯いたしますので大人しくしていてください」
「ぎゃゃゃぁぁぁぁぁぁぁぁ死にたくないよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
・・・
・・・・・・
「はっ痛くない。もとに戻ったのか」
周りを見回すと大勢の武将達が座っている。自分の身体から血も流れていない。ふーと大きく息を吐いた。
「死ぬかと思った。まだ心臓がバクバクしているぞ」
「では、続きまして乙案をやりますか」
「おいモブやめるって。これジェットコースターより怖いって。うわぁぁぁぁ目の前が・・・」
北畠具教の意識が遠くなっていく。そして再び意識が戻った。
「・・・うんなんだここは。さっきと同じで清洲城の大広間か・・・」
俺が周りをキョロキョロすると、先ほどまでいた家臣達が一人もいない。やはりこれはシミュレーション中なのか・・・
「うん目の前に五年後って出ているぞ。なんだこれは。さっきにはなかったな」
「殿、一大事にございます!!」
いきなり目の前に家臣が現れてこう報告した。さすがシミュレーション、展開が速いぞ。てかさっき同じ展開じゃないか。不安すぎる。
「なになにどうしたの?」
「織田信包が柴田勝家はじめ織田残党達と共に犬山城で蜂起。こちらに向かいつつあります」
織田信包は織田信長の弟。この選択肢では家臣として召抱えている。史実では伊勢で15万石ほどもらっている。この人も伊勢に縁がある人ですな。
「えーーーなんでそうなったの!!」
「それは・・・殿が甘く対応したからとしか・・・かなり力を蓄えていましたので・・・」
そうこうしている内に、今度は鎧を着た侍が現れた。より危険度が増しているようだ。てかさっきとかわらん。
「美濃の斉藤家の軍勢が国境を越えました。およそ七千の兵が清洲城に向かっており申す。どうも織田勢と密約がある模様。両者は戦闘しておりません」
「あと三河の松平勢も攻めてきております。わが方は三方から攻められて兵が足りません」
そうこうしている内に、今度は鎧に矢が一杯刺さった侍が現れた。おいおいやばくね。
「一大事にございます。木造具政様の軍勢が伊勢に引き上げました。密使を捕らえた所、伊勢一国の割譲の約束があるもよう。これに神戸具盛様達も同調の動きを見せております!!」
ってか木造具政はどっちの選択肢でも裏切るのかよ!!そうこうしている内に、今度は血に塗れた侍が現れた。ああもうダメだ・・・。
「雪姫様の軍が食い止めようとしておりますが支えきれません。さすがの雪姫様も三方から攻められては持ちません。お覚悟を!!」
「殿、ちょっといいですか」
「おいやめろもういいだろモブ!!」
いきなり目の前にあらわれたモブは刀を抜いている。そしてその刃をこちらに向けている。
「もはやこれまでゲームオーバーですな。かなり痛いですが介錯いたしますので大人しくしていてください」
「はやくはやくとめてって。ぎゃゃゃぁぁぁぁぁぁぁぁ死にたくないよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
・・・
・・・・・・
「はっ痛くない。もとに戻ったのか」
周りを見回すと大勢の武将達が座っている。身体から血も流れていない。ふーと大きく息を吐いた。
「・・・死ぬ思いしたけど、どっちも破滅じゃないか」
「まあまあ殿、あくまでシミュレーションですからこうなるとは限りませんよ。こうなる可能性が高いと言っているだけですから」
さて北畠具教はどちらを選ぶのであろうか。それとも違う選択肢である家臣に纏めさせるのであろうか・・・それは次回までに作者が考えなくてはならない(行き当たりばったりかよ!!)




