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議題1、織田家相続問題

桶狭間の戦いから数日がたち、清洲城および尾張の国は平穏を取り戻しつつあった。


そして今日はいよいよこれからの事を決める評定がここ清洲城おこなわれる。主人公北畠具教もモブを引き連れ、大広間に向かっている。


「それはそうとだいぶ城の修築がすすんできたみたいだね。・・・ところであれは?」


北畠具教は片隅で男達が揉めているのを見つけた。


「だからあの穴は電気配線屋が開けたんだからあいつらが直せよ!!俺達職人も忙しいんだよ」


「設計どおりにこっちもやってるんだから知るか!!」


「まあまあ落ち着いて・・・」


・・・


・・・・・・


「なんだあれは?」


北畠具教は首を傾げながらモブに尋ねた。


「よくある現場の揉め事ですな。現場監督が板ばさみになるパターンの」


(・・・この世界は現代設定じゃないだろう・・・)


そんな事を思っているうちに大広間に着いてしまった。さていよいよだな。


「では殿、入りましょうか。皆殿を待っていますよ」


ゴクリと俺は唾を飲んだ。この数日、痔の痛みと戦いながら史実の勉強をしてきたのだ。しかし問題はもう織田信長が死んでしまっていて、かなり歴史の改変が進んでいる事だ。


(とにかく死にたくないから、ここは慎重に慎重に決めないと・・・)


大広間の扉が開いた。多くの武将がこちらをみてから一同に頭を下げた。その数は第一話のころよりかなり多くなっている。


(うう気後れするな・・・とにかく座ろう)


なるべく顔色を変えように大きく息を吐きながら、ゆっくりと進み、上座へと座った。


北畠具教が上座へと座ると、武将達は頭をあげた。伊勢・尾張二国の主要な武将達が座っている。そしてこの前まで敵だったのだ。独特の緊張感が走る。


「では殿、始めますね」


「あっうん、よろしく」


モブが咳払いをした。今回の評定はモブが司会をするらしい。この時代の評定に司会があるとは思えなかったけど・・・


「では、みなさんおはようございます。お忙しい最中このプレゼンにお集まりいたしまして感謝いたします。将来的にはの北畠シェアハウス、つまり伊勢・尾張のガバナンスをいかにフレキシブルにコミットするのか。ベストプラクティスイシューなど忌憚のないオピニオンをよりマクロ的な観点から聞ければと・・・」


「おい、そんな大学のなんちゃって企業サークルみたいな言い方やめろ!!この時代の人意味分からないだろ!!」


そんな中、雪姫が立ち上がった。おお流石わが娘。モブにガツンと言ってやれ。


「では、将来的に向けたプロセスについてクエスティングしますね」


「のるな、ちゃんとやれ!!!!!」


激怒する俺にモブが俺に語りかけてくる。


「あーの面白くなかったですか?」


「作者の自己主張が激しいと苦情が来てるんだよ!!!!ハアハア・・・まあとにかく元に戻して進めて」


「へいへい、では清洲会議を始めます。まず最初の議題は・・・」




一、織田家相続問題




「・・・です。なにか言いたい人いますか?」


「今度は学級会みたいだな・・・」


そうすると一人の武将が声を荒げて発言した。木造具政である。清洲城落城の立役者だが、とにかく織田家の将兵から評判が悪い。まああんなことすれば当然だが。


「相続もなにも織田家は戦って負けたのでございます。負けた以上、一族は撫で斬りにするのが戦国の作法!!」


清洲城攻防戦の後、内通した木下藤吉郎の活躍もあり信長の子供達はすべて捕らえられていた。信長の兄弟達もすべて投降し恭順の姿勢をみせている。それなのにこの物騒な発言である。早速噛み付いた男がいる。柴田勝家である。織田家残党の取りまとめ役である彼にとって、織田家存続は最重要課題である。


「あいやしばらく、しばらく先生。その件については雪姫殿、鳥屋尾満栄殿とで話し合いがついており申す。北畠具教様の誓詞血判もあり申す!!」


木造具政がしたり顔で答える。


「一門衆筆頭である、俺は連署に署名していないぞ。つまりは家中でこの件は意志統一されていない。つまりはもう一度ここで議論されたし」


「貴殿は兄上で殿である北畠具教様を愚弄しておるのか。長幼の序を蔑ろにするとは不届き千万!!」


柴田勝家はすごい剣幕である。さすがにこれには木造具政も押された。


(くっ、誓詞血判があるからこれ以上の抵抗は無理か。ちっあのバカ兄め・・・とにかく書状を読むか)


連署連判、そして誓詞血判を渡された木造具政はそれを重箱の角を突くように読み進める。そして重箱に角に埃があった。おもわずほくそ笑む。


「・・・これには犬、市の両姫について言及はあるが、他の兄弟や子供は含まれていない。つまり切り捨てても良いわけだな」


「詭弁でござる。まだこの時には、犬姫様、市姫様しか捕らわれていないのでそうしたまで。その時捕らわれていない方についての身の振り方もこれに準じるものと」


「それこそ詭弁よ。書いてない以上刑死もあるだろう!!」


お互い掴みかからんとするほどの激論だ。なかなか決着がつきそうもない。


(・・・さっそく胃が痛いな・・・お尻も痛くなってきた・・・)


まだまだプレゼン・・・じゃなかった会議は始まったばかりだが、いつ終わるか誰もまったく分からなかった・・・

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