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一筋の道

ちょっとお話が短いです。てか主人公出てこねえ!!

「このままでは手詰まりです。いかがなされますか」


さてそうは言っても、もはや打つ手がなくなっている。殿・・・信長様はすでに討たれ、清洲城も取られた。帰蝶様も亡くなり、ご子息もゆくえ知れずだ。


(ふっまさに前門の虎に後門の狼か・・・あれ逆だったかな?)


柴田勝家としても混乱していて手が打てなくなっている。しかしそれでも士気が旺盛な者もいた。


「勝家殿、なにをくずくずしておられます。もはやこれまで。敵陣に突っ込んで相果てましょう!!」


やたら激しい意見を述べているのは、森可成その人である。桶狭間にて北畠具教の本陣を奇襲するが失敗、そして織田信長は死んだ。彼は清洲城に向かう途中においてその事ばかり叱責していた。


(もう俺は生きている意味がない。はやく殿のもとへいかなくては・・・)


そもそも史実おいても森一族は悲惨な運命になっている。森可成は朝倉との戦いで壮絶な戦死。息子の森可隆もこれまた朝倉方の手筒山城攻めにおいて壮絶な戦死。次男の森長可は小牧・長久手の戦いにおいて壮絶な戦死。弟の森乱丸は本能寺で討たれるなど、みんな有望な才能を持つも生き恥を晒してまで生き延びない性格なのかなと思う。


さてそんな訳であるから、森可成は突っ込んで散りたいと主張している。彼が持つ美徳なのである。


「あいや待たれよ。それは賛成できぬ。ここは我等の生き残りを図るべき」


性急な森可成に意見する人物がいた、林秀貞である。


林秀貞・・・織田家の重臣であり信長の信頼も相当厚かった人物である。合戦では目立つことはなかったが、政務の方で活躍した。どうも合戦で目立たないと歴史に名前を残せない傾向があるが、こういう事務方がしっかりしてなくては家は成り立たないと思う。事務って大事だよ。


しかしながら、林秀貞の晩年の冷遇ぶりはなんなのであろうか。いきなり追放されるどうもハッキリとした理由が見当たらない。これには作者の私はある仮説を立てている、それは・・・おっとまた脱線した。もとに戻そう、よっこいしょ。


「なにを申されるか。ここは討ち果てるのみ!!」


「そなたこそ、ここまでついて来た将兵を無駄死にさせるご所存か!!」


林秀貞と森可成が激しく言い争いを始めている。ってか掴み合いまで発展しそうだ。それを遠目で見る柴田勝家はもはや諦めの胸中に達していた。


(ここ、この急場においても兵が纏まらない以上もはや体勢は決したのではないか・・・)


そんな時、清洲城から一人の侍が馬に乗ってこちらに向かってきた。織田残党軍は一気に臨戦態勢になる。しかしどうも一騎打ちを申し入れているようではなさそうだ。その侍が大声で叫ぶ。


「拙者は北畠軍先軍大将の北畠雪の軍使である。至急話し合いを持ちたい!!」


その申し入れに織田方はどよめいた。すわ決戦と思われたが、どうも違う道もあるようである。その迷いが、そもそも寄せ集めを掻き集めたようになっている織田残党軍の将兵に亀裂を走らせる。


「追い返せ!!我等は全滅するまで戦うぞ!!」


「血迷うたこと申すな。これは話し合いをうけるべし!!」


「なにを!!この腰抜け武士め!!」


「猪武者ではこの乱世を乗り越えられぬわ!!」


皆、てんでバラバラな意見をぶつけ合っている。それを見て実質的に残党軍を率いている柴田勝家は決断した。


「あい分かった。軍使を受け入れよう・・・」


(この状態では組織的な抵抗を不可能だ。とりあえず話を聞かなくてはなるまい・・・)


上手く手綱を引いてこの者達を操っていた織田信長という人物の偉大さを感じながら、柴田勝家は無念そうに目を瞑るのであった・・・

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