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松坂城の戦い2

「俺を許そうとするのか……ふん、相変わらず甘い男だ」


籠城戦を繰り広げていた木造具政であったが、結局は大勢は覆せなく、和平交渉の席に着いていた。


「木造具政様、諦めましょうよ。もう絶対勝てないですよー」


泣きつく自分の家臣達を怒鳴りつける。


「泣き言言うな!!大体お前達がそんなんだから負けるんだろうが!!」


「殿が始めた戦いでしょ、部下のせいにしないでくださいよ!!このブラック上司!!」


「何だと!!」


あーあ喧嘩始めちゃったよ……負け戦と赤字会社の社内はギスキズするな……関ヶ原合戦の後の大垣城とか負けた後は悲惨……


混乱している城内で、交渉役の鳥屋尾満栄配下の侍がイラついている。


「もういい加減になされよ!!無条件降伏にイエスかノーか!」


どこかで聞いたことあるセリフだが、兎に角はやくまとめてなくてはならないのだが……


そうこうしていると、甲冑姿でフル装備の鳥屋尾満栄と家臣団が乗り込んできた。


「なんだ鳥屋尾!!まだ交渉中だぞ!!」


「どうもこうもあるまい!」


そう怒鳴って鳥屋尾満栄は木造具政の前にドカッと座った。


「どういう意味だ!」


「貴殿も一軍を率いなされた武人、情けをかけられるほど落ちぶれていまい。腹を斬られよ、部下達は助命いたす」


これには流石に木造具政も動揺した。


「なに!貴様、何を言っている。北畠具教は俺を許すと言っているだろうが」


「これも戦国の世の習い。裏切り者を生かしておけば、北畠家に災いが降りかかるというもの。やれい!」


そう鳥屋尾満栄が言うと、部下の侍達が木造具政を取り押さえる。


「くっなんのつもりか!!おいお前ら助けんか!!」


木造具政はたまらず部下に声をかけるのだが……


「うう木造具政様、我らの為に潔くお命を」


「この薄情者!!」


このままでは哀れ木造具政の命が尽きようとしたのだが……


「やめろ鳥屋尾満栄!!そこまでだ!!」


そう言って今度は北畠具親がこの場に乗り込んできた。


「兄上のご命令は命までは取らぬ事。お主の気持ちはよくわかるがここは辛抱じゃ。私は一度は僧籍に身をおいた事もある。木造具政は私の知り合いの寺で仏門に入ってもらおう」


「……是非もなし……」







「……という事があったようです」


ここは美濃の稲葉山城。合戦の後、視察もかねて北畠具教がこの城に訪れていた。そこで松坂城の戦いの顛末を聞いたのである。細野藤光が報告している。


「鳥屋尾満栄には辛い思いさせてしまったな……」


「本人からは進退伺いが出されていますが……」


「そんな気にするなと言っといて。彼も家の事思っての事だから」


「はっかしこまりました」


北畠具教の隣に座っている雪姫が心配そうに話しかけてきた。


「父上はお優しいお方でございます。家臣達もそれはよく分かっておりますが、それゆえ心配なんでしょう」


「あと村井貞勝殿から幕府の情勢の報告が届いていますが」


「うん、幕府はなんて言ってるの?」


細野藤光が呆れた様子でこう言った。


「それがどうも将軍義輝様と政所執事の伊勢貞孝様がゴタコダしているみたいで、北畠家に構っている余裕がないとの事。このまま有耶無耶で決着になりそうだと」


「幕府も色々大変なんだなーまあこっちからくれぐれも絶対にぜーーーたいに首を突っ込まないようにと」


「はっ、伝えておきます」


北畠具教は大きく息を吐いた。


「ふーこれでひとまず落ち着いたな。もうこのまま絶対にぜーーーたいに厄介事には首を突っ込まず、静かに暮らすぞ」


「父上……そんな発言いたしますとへんなフラグが立ちますよ」


まさに雪姫が危惧する発言をした時……


「殿、飛騨の姉小路良頼様が直々にこちらに向かっているとの事。戦勝の賀詞を奉りたいとの事。お会いになりますか?」


「……なんかすごく嫌な予感がするぞ……」


まさにその通りで、また再び北畠具教は面倒ごとに巻き込まれるのであった……



 

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