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稲葉山城の戦い7

安藤守就が立て籠もる北方城。その城自体は小さい城であり、なんなく落とせるはずと高を括って斎藤飛騨守が攻めているのだが、どうにも芳しくないようである。


「まだか、まだ落ちぬか」


自軍の不甲斐なさに飛騨守がイライラしながら部下に聞いている。


「はっ、敵の抵抗激しく今だ勝敗は決しません」


「気合が足りん。とっとと落とせ」


しかしいまいち攻め方に勢いがない。なにせちょっと前まで仲間だった安藤守就にこれといって恨みもないし、第一勝っても恩賞がきちんと出るか保証がない。それに飛騨守の直接的な兵でもなし、兎に角やる気がないのである。


そんなこんなだで我が身大事のジリジリとした戦いになっており、当初の予定よりかなり時間がかかるのは明白であった。そしてこれは飛騨守は知らぬのだが、稲葉、氏家ら西美濃三人衆が兵を北方城にまわしており、守備は万全であったのだ。


そんな苦境の飛騨守に急転直下、稲葉山城陥落の報が届いたのである。それはもう飛騨守は驚いてしまう。


「なっなんと城が落ちたというのか!!」


「はっ、北畠雪率いる軍勢が美濃に侵入。出城の多くは一斉に北畠雪率いる軍に寝返りました。稲葉山城は竹中重治らが密かに忍び込み奪取した模様」


「竹中重治だと。あの酔っ払いまだそんな気力があったとは」


飛騨守は怒りに震えた。しかし怒っているだけでは埒が明かない。時間が過ぎればドンドン事態は悪くなる。


「斎藤龍興様は城を脱出し、こちらへ向かっております」


飛騨守の家臣がこう進言をする。


「悠長に龍興様の到着を待っていて、御身に何かあれば我らに勝ち目はありませぬ。こちらから迎えに行きましょう。そしてそのまま稲葉山城へ!」


「そうですよ飛騨守様。敵は城に到着して間もないはず。防備を固められる前に攻めなくては。敵もすぐに攻められるとは思わないはず」


しばらく考えた後、飛騨守は決断する。


「……よしお前達の意見を採用する。北方城警戒に少し兵を残し、全軍引き上げるぞ」


こうして飛騨守らは軍勢を慌てて引き上げようとするのだが……



落ち着いた雰囲気で安藤守就が城から攻め方である飛騨守の軍勢を観察していた。その動静に変化を感じた。


「急に攻撃が弱まったな……」


部下の一人が言う。


「はっ、城攻めどころか何やら撤退するかのような動きですな」


安藤守就がニヤリと笑うのであった。


「竹中め、上手くやったようだな」


振り返った安藤守就が部下達に指示する。


「手筈通り打って出るぞ。用意しろ」


「はっ」


北方城内は慌ただしく攻撃準備に取り掛かるのであった……



さて斎藤飛騨守は大急ぎで部隊を撤収し、一度稲葉山城へ向い始める。その途中で斎藤龍興と合流を果たすのだが……


「龍興様、ご無事でなりより」


「竹中重治め、報復しなくては……うん?ところで北方城は落ちたのか」


「いえ、安藤守就の抵抗激しく今だ落ちておりません」


「何をしておる。あれだけの大軍があれば簡単に落とせるだろう。この能無し!!」


「龍興様だって稲葉山城取られてるじゃないですかやだー」


「なんだと!!」 (怒)


あーあ喧嘩を始めちゃったよ、こんな事してる場合じゃないのに。すると一人の家臣が終わてて二人の元に駆け寄ってきた。


「殿、大変です。稲葉山城方面から北畠雪の軍勢がこちらに向かっております。どうやら稲葉山城に入らなかった模様」


「なんだと!!直ぐに迎え撃て」


また別の家臣が二人に駆け寄る。


「北方城から安藤守就勢が攻めてきました。こちらの抑えの兵を向かってきております」


「不味いぞ、挟まれる!!」


こうして龍興らは東から北畠雪率いる軍勢と、西から安藤守就勢に挟撃され最悪の事態となってしまうのであった……


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