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稲葉山城の戦い5

ゴーストオブシツマにはまってます

北畠雪率いる犬山城から出発した1500の兵は、一路稲葉山城を攻撃すべく進軍していた。


「思ったより斎藤勢の抵抗がないわね……」


雪姫がポツリと呟いた。無理もない、ここまで全く斎藤家の攻撃がなかったのである。


犬山城から稲葉山城への道中でまず最初の防衛線は伊木山城-鵜沼城-猿啄城を結ぶラインである。特に鵜沼城は堅塁な城であり、そう簡単には突破は出来ない。


この3バックの後には、現在の航空自衛隊岐阜基地傍にある三井城と八幡山城を結ぶライン。ここまでで出来る限り足止めして、稲葉山城からの援軍を待つというのが斎藤家の防衛計画である。


しかしである、北畠家の進軍に対し防衛線はあっけなく突破され……というより、むしろ積極的に城から北畠家に加わる兵士が続出している。


「姫様、鵜沼城城主大沢次郎左衛門殿が我が方に恭順の意。家老の息子を質に出し、味方に加わりたいとの事」


細野藤光が淡々と雪姫に報告している。


「細野……貴方は何をしたの。向こうは総崩れじゃない」


「いえ私は大した事は何も……そっと悩む背中を押したまで」


「何故こんなに裏切るの?主君の為に戦うのが家臣ではないのかしらね」


「むしろ裏切ったのは主君筋である斎藤家の方。家臣達に対して適切な褒美も出さず、むしろ猜疑心から締め付けを強化した訳ですから。彼らに非はございません」


「そう言って口説いたのね。細野らしいわね」


「姫様は光でございます。影の部分は私が何なりと……」


雪姫の軍勢は進む度にドンドンと膨れ上がり、もはや北畠家本体と言っても過言ではない程に成長していた。


「姫様この先の交差点で右折して、岐阜東バイパスに入りましょう」


「突然令和の地理で説明しないで。兎に角もうすぐ稲葉山城ね」


雪姫の元に直属の家臣の証である白い鎧を纏った侍が駆け寄る。


「姫様、松倉城城主の坪内利定様がご挨拶したいと」


何故か細野藤光が慌てた。


「ならん戦中だ。終わってからにせいと、かように申せ」


「あらいいじゃない、細野。もう味方なのよ。いいわ」


「いえ姫様、今は不味い、あっもうきやがった」


如何にも無骨な感じの侍、坪内利定が雪姫の前に現れた。彼は深々と礼をする。


「これはこれは雪姫様。なんと美しいそのお姿……この坪内以下家臣一同よろしくお願いいたします」


雪姫が美しく微笑む。まさに血まみれの戦場に現れた一凛の花といった表現がピッタリである。


「では姫様、我が娘をよろしくお願いいたします。あと恩賞の姫様グッズはぜひ姫様の髪を頂きたい」


雪姫がキョトンとする。


「なに娘って。それにグッズって?」


「わが娘を雪姫様のお傍で修業させていただけると細野殿から言われました。武勇優れた姫様の傍に居られるなどこれにまさる家の誉れはございません」


雪姫が細野藤光を睨みつけた。


「あなたね、最近私に侍女だと言ってどんどん送り付けてきたのは!」


「ギッギク!しかし姫様、お手伝いも必要かと」


「多すぎるのよ!!着替え一つに十人近くいるのは変だと思ったら貴方のせいね。それにやけに私の物がなくなると思ったら、勝手な事を!」


「いえ姫様。姫様グッズは最近価値が高騰しておりまして、物によっては小さな城を一つぐらい買える程に……これを利用しない手はないと林秀貞殿と話しまして」


「貴方達二人ときたら、何をしてるの!!」


「ちょっと姫様、お気を確かに……ウワーーー!!」


結局、約束は約束なので守るしかなく、雪姫のお付きはますます増え、髪は少しだけ短くなってしまった……


そうこうしているうちに雪姫とボコボコに殴られた細野藤光らの軍勢は、稲葉山城が見える所まで進軍しようとしていた……



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