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稲葉山城決戦1

さて時はどんどん進み、永禄四年五月……えらく端折りましたが……


北畠家と斎藤家の争いは散発的な小競り合いはあったが、驚くほど両家の戦いは起こることはなかった。


北畠家は、度重なる戦でその余力は無く、斎藤家は家中掌握で忙しく本格的な侵攻など出来る状態ではなかった。


しかし時がたつにつれて、徐々に落ち着きと取り戻しつつなか両家の合戦は避けられなくなりつつあった。


そして先手を取ろうとしているのが、ここ稲葉山城に居を構える斎藤龍興であった……



「どうだ飛騨守。侵攻の手筈は?」


「はっ、準備は整いつつあります。後半月もあれば大丈夫かと」


「よし、南伊勢の木造に伝え、同時に北畠家へ侵攻するぞ」


「心得てございます」


「清洲城を落とせたらそれでよし。悪くとも尾張領内を荒らしまわり、年貢の取り立ては阻止しなくてはな」


戦続きで、米の備蓄は乏しい北畠家であったが、肥沃な濃尾平野を抱える尾張の米の生産量は脅威である。


時がたつにつれてその米と伊勢湾の海洋利権に裏打ちされた経済力によって、北畠家打倒は年々厳しくなっていくであろう。


だからこそ斎藤家にとっては仕掛けるにはこのタイミングしかないのである。


斎藤家は南下して清洲城へ。木造家は北上して安濃津城へ。その両面作戦によって北畠家を抑え込む。


そして尾張領内の年貢の取り立ては是が非でも阻止しなくてはならなかった。戦乱となれは稲の刈り取りどころではないからである。しかし尾張の農民達のヘイトは斎藤勢に向けられるわけであるが……


その為には兎に角斎藤家内部の掌握が急務であり、かなり強引な手でそれを進めてきた。そしてようやくそれが終わり、今や巻き返しの時。


「どうだ家中は?歯向かう者はおらぬか?」


「皆影ではぶつくさ言っておるようですが、表立って歯向かう者はおりません。これも龍興様の人徳のおかげ」


「ほうお主も良い事を言うな。まあそうであろう。ハッハッハッハッ」


斎藤龍興と斎藤飛騨守が高笑いをあげている。しかしそんなフラグを乱立していたら……


突然、若い侍が部屋に飛び込んできた。


「申し上げます!!北方城の安藤守就がご謀反!!手勢を集めつつあります」


ほーら言わんこっちゃない……


「なんだと!!おい飛騨守!!監視はしていたのになんという様だ!!」


「申し訳ございません。安藤守就はこちらに向かっているのか?」


若い侍は答えた。


「いえ、今のところ安藤守就様以外の武将は静かなものです。安藤守就様は居城である北方城で持久戦の構え!!」


斎藤龍興が首を捻った。


「うーん何を血迷ったのか……しかし手立ては急がなくてはなるまい」


「御意。このままほっておきますと我らの姿勢を舐めて、乱に賛同する者が出てきます。逆に一気に叩き潰せば、他の者はもう逆らえますまい」


「うむ、その通りだが……罠ではあるまいか?」


斎藤龍興は疑っている。無理もない。あまりに無謀すぎる。


「しかし殿。ほっておくのはますます危険!!ここは向こうにどんな策があろうとそれごと押し倒せば済む事!!」


「うむ分かった飛騨守、手勢を与える。叩き潰せ!!」


「お任せください、あんな小さい城では幾日も持ちますまい。直ちに出立します」



もともと戦力を集積中であった為動員はスムーズにいき、飛騨守率いる軍勢は稲葉山城防衛の為兵を少し残しながら、大軍を持って北方城に向かうのであった。


そしてその動きをじっと見ていた、稲葉山城の近くに潜伏している竹中重治はほくそ笑みながら行動を開始し始めるのである……



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