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三好家の混迷

あらすじ

六角家は北畠家との和睦しようと交渉を始めようとしていた。そして浅井家の赤尾清綱は雪姫を浅井家の姫に輿入れさせようと動き始める。

さてさてまたまた場面は切り替わり、ここは河内国の高屋城。1560年の年末においては三好実休が実効支配していた。高屋城は安閑天皇陵を利用して作られており、小高い丘に建っている。三好実休は三好長慶の弟であり、本年行われた畠山家との戦いが評価されて河内一国が与えられていた。そしてそこにもう一人の弟である十河一存が訪れていた。


そして今や三好家は絶頂と言っていいほどの権勢を誇っている。まず嫡男・慶興が将軍の足利義輝から「義」の字を貰っている。主君筋である細川・畠山の両家も長慶の実力の前に屈していたし、幕府役職である相伴衆に任命され、1月21日に長慶は修理大夫に、義興は筑前守に任官した。朝廷にも手は伸び正親町天皇の即位式の警護を勤め、財政難の朝廷に対して献金も行なっている。 (wikiから抜粋)


こうして権力を拡大している時は、外に向かってそのエネルギーは走っているものだが、ことその勢いが落ち着くと人間というものは途端に内部抗争に向かいがちである。


それは三好家も例外ではなく、三好長慶を取り込む松永久秀ら主流派と松永久秀を嫌う十河一存・三好実休ら反松永派の水面下の攻防が激しさを増していた。


「・・・兄上はもはや松永久秀の名代と謳う蘭の言いなりじゃ。このままでは三好家は食い物にされよう」


若くカッコイイ男がこういった。彼こそが十河一存であり、反松永の急先鋒である。三好家家中の若手タカ派から支持を集めている。


「そうじゃ、だからこそ我らはなにが対抗策をもうけなくてはならん」


こっちの頭が禿げた方が三好実休。彼もまた松永久秀を嫌っていた。そして彼は「ある打開策」を話し始めた。


「・・・ところで北畠具教殿が斉藤家を打ち破ったという話はご存知か?」


「ああ知っている。なにやら雪姫なる北畠具教の娘が大活躍し押し返したとか。これで北畠家はしばらく安泰であろう。だが我らのとっても危険なほど勢力をのばしつつあるな、北畠家は・・・」


「その雪姫じゃが・・・どうじゃお主、嫁に貰わぬか?」


「!これは大層な事を言われる。そもそも北畠家はどちらかと言えば松永久秀寄りであるぞ」


三好実休は顔を近づける。


「だからこそじゃ。このままにしておけば北畠家は松永久秀に加担しかねない。そうなれば我らに勝ち目はない。だからこそ『先手』を取って雪姫を娶り、北畠一族を我らに取り込むのじゃ」


「・・・兄上、私には九条稙通殿の娘を正室として頂いております。今更そんな話は・・・」


九条稙通は公家で関白まで昇りつめたスゴイ人なのだが・・・兎に角貧乏だったらしく、関白を続ける続ける事が出来なかったらしい。この時はもう出家しており、政治的影響力はあんまりなかったと作者は勝手に想像してます。間違ってたらスイマセン。


「九条稙通殿とはワシからうまく話しておこう。・・・まあダメなら俺が雪姫を娶ろう」


「兄上には小少将殿が・・・」


「ふん、あの女にはもう利用価値はそんなにないからな・・・」


小少将とは三好実休の後妻なのだが、そもそもは自分が裏切ってぶち殺した主君細川持隆の妻なのである。それを分捕った、つまりは寝取られですよntr。かなり鬼畜ですね。現代日本においてこんなことしたら即逮捕ですがね。


そして三好家四兄弟の人物評を書いた書物 (南海治乱記)によると、三好長慶は天下を取る器、十河一存は勇将、そして三好実休は謀将と評されている。


(兄上である三好実休はあい変わらず鬼畜じゃの・・・わしには真似できん・・・謀略事はまかせよう)


弟である十河一存はため息をついた。正攻法を好み、戦場において真価を発揮する自分とは違いすぎるからだ。しかしこのままでは松永久秀の名代蘭によって三好家は食い物にされてしまう。そっちのほうがよっほど困る。


「・・・ともかくワシ、三好実休が北畠具教殿に話し合ってこよう。戦に勝った祝いといえば向こうも無下に断らんからな」


こうして三好実休は雪姫・・・というより北畠具教をこちら側に引っ張り込む為の工作を開始したのであった・・・



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