その剣の名はエクスカリバー
「ついに現れたか!伝説の剣、エクスカリバーを抜くものが!」
いきなりの大音声に思わず目を開くと、先程より高い位置に目線があることに気付いた。
ーエクスカリバー?何のことだろうか?
そう思っていると、右手に掲げたそれに目が行った。
それは、黄金色で、陽光を反射してキラキラと輝いている。
それは、黄金色の大剣だった。
ーあれ?なにがどうなってこうなったんだ?
混乱していると、今度は右手が勝手に動き、黄金色の大剣を背中に持っていくと、視界がいきなり切り替わり、再び全身の感覚が消えた。
「新生勇者の誕生じゃ!皆の衆、彼を拍手で送り届けるのじゃ!」
誰かの号令に続き、周囲の人々が雄叫びのような歓声をあげ、大きな拍手に広場は包まれた。
ーはい混乱中。今俺が混乱中ですよ。
今度は視界がぐるっと後ろに移動し、広場から勝手に離れていく。
ふと進行方向へ目を向けると、さっきの西洋甲冑の右肩から覗きこむような格好になっていることに気が付く。
ー俺を運んでくれているのか?
でも剣と一緒に背負うとは、どうやっているのだろうと思い密着している自らの体の方へ目を向けると、本来体があるべき場所に、柄、鍔、剣身がある。
ーえーと、もしかして、俺がその……
ーエクスカリバーなんじゃないか?