ピンチからの出航?
死神(?)との無茶苦茶な取引が終わると、いつの間にか見たこともない場所にいた。これは、広場だろうか。
周りを多くの人が囲み、その視線は俺に向けられている。その視線に圧倒され、一歩後ずさ、ろうと思ったのだが、まったく体が動かない。
もしや、自分は処刑台にでもいるのだろうか。声も出せない。
ーあれ、俺ってばいきなり大ピンチ?
幸い、360度全方位見渡せるのだが、体がどうなっているのか、怖くて見ることが出来ない。
四肢が無くなっていたらどうしよう。やばい、想像しただけでも吐きそうになる。
そうして色々と考えを巡らせていると、周りの人々が一斉に俺ではない場所へ向き、口笛を吹いたり、拍手をし始めた。
人々の視線を追うと、そこには全身を西洋甲冑で固めた人がいて、こちらに歩いてきていることに気付いた。
ーまさか、こいつが執行者か!?
ーせっかくチャンスを手に入れたのに、あの死神もどき、俺を弄んだのか!?
そんなことを考えている間も、執行者はこちらへどんどん近付いてくる。
ー来るな!来るなよ!俺が何をしたってんだよ!?
コツ、コツ、と足音が近付いてくる。まるで、死神の足音のようだ。
迫り来る恐怖に堪えかね、目をぎゅっと閉じる。
しかし、思っていたような衝撃や痛みは剣司を襲うことはなく、右手に何か棒状の物を掴んで、地に足を着いて立っている感覚が急に現れた。
ーあれ?