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死んでエクスカリバー  作者: 肉付き骨
いざ、(勇)魔王城へ (剣)仲間探しへ
17/21

彗星の如き剣

 太陽が直上から照らし、街道に人が増え始めた頃、エルトリーデが進んでいる方向から、何かを叫びながらこちらに走ってくる行商人らしき人が見えた。



「何かあったみたいだな?」



「尋常ではない様子ですが」



 行商人がこちらに近付いて来るにつれて、だんだん何を言っているのか分かるようになってきた。



「大変だ!魔物が村を襲ってる!引き返したほうがいいぞ!」



「なんですって!?」



 エルトリーデは行商人の前に立ちはだかり止まらせた。



「うおっ、なんだあんた!」



「あなたはその村の者ですか?」



「いや、見ての通り各地を渡り歩く行商人だ。あの村で商売させてもらってたんだが、いきなり大量の小鬼(ゴブリン)が現れて村を襲い始めたんだ!悪いことは言わねぇ、あんたも逃げた方がいい」



 行商人は気が動転しているらしく、背中に背負った剣が見えていないようだった。



「くっ!急がなければ!」



 エルトリーデは行商人が走ってきた方向へと飛び出すように駆けた。すれ違う通行人たちが驚いた顔で道を空けていく。

 エルトリーデの足は速く、あっという間に目的の村が見えてきた。



「あれか?」



「きっとそうでしょう!行きますわよ!」



 村の門をくぐると、そこには身長一メートル程の、人っぽい緑色の魔物がうじゃうじゃといた。



「ゲッゲッゲッゲ」



「気持ち悪!」



「村人は!?」



 柄から見える広い視野で辺りを見回すクロ。



「外にはいないみたいだ。戸や窓を閉めきってるから、きっと家の中に立て籠ってる」



「ならば早く小鬼を倒しましょう」



エルトリーデがエクスカリバーを鞘から抜き放つ。そして再び感じる一体感。

 そこでクロはある異変に気付いた。



「何か聞こえないか?」



「ええ、ヒュンヒュンと、矢が飛ぶような音が聞こえますわね」



 誰かが戦っているのかと思ったが姿は見えない。これは何の音なのだろうか。



「っ!?エリー!」



 クロは視界の端に写った飛来物に気付き、思わず『エクスカリバーを振るい』、それを弾き飛ばした。



「え…?身体が、勝手に…?」



「…俺が動かしたのか…?」



 突然の出来事に呆然とするエルトリーデとクロ。今、確かにクロの意思でエクスカリバーを振ったようだった。



「クロ、感謝しますが、考察は後ですわ!」



「あ、ああ、分かった」



 エルトリーデは首を振り、エクスカリバーを構え直し、飛来物の行方を追った。弾き飛ばされたそれはクルクル回転しながら宙に弧を描き、地面に突き立った。



「あれは剣!?誰があんな物を投げたのですか!?」



 剣が飛来してきた方向を見るが、誰もいない。エルトリーデが何事かと思い剣を再び見ると、それは淡い光を帯び、浮き上がった。



「なんだあれ?幽霊でもいるのか、この村は」



「クロ、これは魔剣かもしれませんわ!来ますわよ!」



 エルトリーデがエクスカリバーを構えるがしかし、浮いた剣はあらぬ方向へと光の尾を引きながら飛び、今度は小鬼を斬り始めた。



「敵じゃないのか…?」



 宙を舞う剣は流れ星のように飛び、小鬼を斬り捨て消滅させていく。

 ものの数十秒で小鬼の大群を全滅させたその剣は方向を変え、再びエルトリーデに襲いかかった。



「なっ!?きゃっ!」



 不意を突かれたエルトリーデは、エクスカリバーをその手から弾き飛ばされてしまった。その衝撃で倒れたエルトリーデは頭を打ったのか、動かない。

 そして再び舞い戻る剣。



「エリー!くそっ!さっきみたいに動けよ!」



 クロは全身、ありとあらゆる場所に力を入れるが、その剣身はピクリとも動かない。



「なんで!なんであいつは飛べて俺は飛べないんだよ!動け!動け!」



 喚くが虚しく、その黄金に輝く大剣は動き出すことはなく、エルトリーデに凶刃が迫った。



「エリー!!!」




「エペタム!もう我らの敵はいない!」




 背後から響いた声に反応したように、その剣は動きを止め、声の聞こえた方へとゆっくり移動した。



「ご苦労だったな、エペタムよ。しかし人は斬ってはならんとあれほど言うとろうが。して、すまなかった、旅人よ。そなたの主人に怪我は無いかね?」



 後ろから歩いてきた白髪の老人は、鞘に収まった先程の剣を片手に持ち、クロの傍で立ち止まり語りかけた。



「あ、ああ、たぶん気を失ってるだけ……ちょ!?あんた俺の声が聞こえるのか!?」



「おお、やはり声の主は君か」



 老人は屈みこみ、エクスカリバーの柄に視線を向けた。



「やっぱり聞こえてるのか。でも何故?」



「詳しい話は君の主人を宿に運んでからにしよう。今、人を呼ぶから少し待ちなさい」



 老人はクロを引きずりエルトリーデの隣に置くと、直近の家まで走って行ってしまった。



「何者なんだ、あのじいさん…」

 どうも、肉付き骨です。

 最近この作品のアイデアばかり浮かんで止まらないのですよ。

 さて、お気付きの方はいらっしゃると思いますが、この作品に登場する武具は今のところ実在(神話や民話等に)する物です。これが何を意味するのか、まだ明確には決まっていませんが、恐らく伏線的な何かになると考えています。

 さて、今回登場した《エペタム》も気になるところですが、エクスカリバーの違和感が解決する予感が。エルトリーデが目を覚ますのを待ちましょう。

 唐突ですが、毎回セリフが多くて自分の力の無さを痛感するばかりです。それでもこの作品を読んでくださる方々には感謝の気持ちでいっぱいです。

 長文失礼しましたm(__)m

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