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死んでエクスカリバー  作者: 肉付き骨
いざ、(勇)魔王城へ (剣)仲間探しへ
16/21

早朝の出来事

 夕方、町の住人達がお礼にと、代わる代わるに宿に金品や食糧を持ってきたのだが、旅に持つには無理があるということで、エルトリーデはほんの一部だけを受け取り、残りは全て持ち主に返還した。

 気になったのは、受け取った物の一つに、奇妙な物があったことだ。



「これは…落丁したページか?しかも一ページ」



「みたいですわね。誰も解読できないらしいのですが、なんでも、一月ほど前に天からひらひらと落ちてきたそうですわ」



「胡散臭いな。ただ風に飛ばされてきただけだろ」



「かさ張らないですし、いいでしょう」



 翌朝、日が昇る前にエルトリーデは町を後にした。

 町を出てある程度経った頃、エルトリーデが背負っている大剣、クロが言葉を発した。



「よし、まずは仲間集めだな」



「ですから!仲間など要らないと…」



 まだ空が明るくなり始めたばかりなので街道には人影はなく、兜を外しているエルトリーデの澄んだ声だけが草原に響く。



「まあ、その件は追々なんとかするとして。エリー、これからどこに向かうんだ?」



「聖剣エクスカリバー、つまりクロ、あなたを手に入れたのですから、早速魔王城に」



 本当にこの勇者は軽々しく恐ろしいことを言う。エクスカリバーが喋ることが無ければ、とっくに魔王に殺されてしまっていただろう。



「気が早いんだよ!そりゃ、一刻も早く故郷を取り戻したいって気持ちは分からんでもないが」



「…あなたに何が分かりますの…」



 瞬間、突風が草むらを揺らし、風の音と草が擦れ合う音にエルトリーデの声が掻き消されてしまった。



「ごめん、今なんて?」



「いえ、なんでもありませんわ」



 突風の余波がエルトリーデの金糸のような髪を踊らせ、朝焼けの陽光がそれをキラキラと光らせている。



「なあエリー、思ったんだけどさ」



「なんですの?」



「エリーは人前ではずっと兜被ってるよな。綺麗なのにもったいないな、って」



 クロがエルトリーデと初めて会った時からそうだった。宿屋の主人に呼ばれた時も、昨日のお礼を受け取る時も。そのせいでクロは最初、エルトリーデを男だと思ってしまったのだ。



「きっ、綺麗!?からかうのはお()めなさい!」



「からかってねーよ!ん、でもまあいいか。俺は見られるからな。役得(やくとく)役得」



「もう…」



 朝焼けの色に頬を染めるエルトリーデ。



「うん、やっぱり綺麗だな」



「止めなさい!恥ずかしくて頭が沸騰しそうですわ!」



「あ、人がいる」



「えっ!?あっ、ちょっと!」



「嘘でしたー」



「ぐっ…馬鹿にして!捨てますわ!遠投しますわ!」



「ごめんなさいもうしません」



 エクスカリバーを捨ててしまっては魔王に挑めないのではないか、とクロは思ったが、これ以上言うと本気で捨てられるか、泣き出してしまいそうだったので止めておいた。

 どうも、肉付き骨です。

 前回は勢いに乗りすぎたので、今回は小休止です。

 『早朝の戯れ』にしようかと一瞬思ったのですが、それだとクロの言葉まで戯れ(=嘘)になってしまいそうだったので、このようなサブタイトルになりました。

 次回、『大悪魔べリアル降臨』!


 はい、恒例の冗談です。まだべリアルさんは出ませんよ。

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