深まる謎、新たな事実
宿屋に向かいながら、エルトリーデは俺にだけ聞こえる声量で話しかけてきた。
「先程気になったことなのですが、やはり鞘に戻すと途端に重くなりますわね。戦闘中はあんなにも軽く感じたのに…」
「ってことは普段のエリーはあそこまで取り回せないのか」
「それはそうですわ!私を一体何だと思って…」
「勇者だろ?」
「ぐ…確かにそうですが…さすがにここまで重い大剣は両手でないと振れませんわ」
それを聞いて安心した。勇者と言ってもそこまで化け物じみたことはできないのか。
いい機会だと思い、こちらの違和感も相談することにした。
「それと関係があるか分からないんだが、エリーが俺の柄を握ると、俺がエリーになったような変な感じがするんだよ」
「……淫剣は捨てて新しい聖剣でも探しましょう」
エルトリーデは汚ない物を見るような目でこちらを見てから、「ゴミ捨て場は…」と呟きながら辺りを見回した。
「待って!捨てるのはやめて!共有してたのは限られた部分だけだ!」
感覚と言っても、視覚と聴覚、それと主に手足や胴の筋肉の動きとか、それくらいだ。
「淫剣」
「違うって言ってんだろ…不可抗力だ…」
「何が違うのですか淫剣」
「ぐごご…そ、それよりも、聖剣って俺以外にもあるのか?」
そう、今の話で気になったところはそこだ。俺以外の聖剣があるとすれば気になるのは…
「剣だけでなく、聖なる武具は多種ありますわ。私が知っているのはレーヴァンテイン、グングニールくらいですが、他にいくつも存在するようですわ」
「Oh…けっこうあるのね…ってそうじゃない、危うく主旨が変わるところだった…」
俺が珍しい存在だと思っていたのだが、それはちょっと調子に乗りすぎていたようだ。
「他に何か気になることがありましたか?」
「うむ、これは一番大事だ。その聖なる武具の数々は………喋るのか?」
「そんなわけ……いえ、まだそれらを直接見たことはありませんから、何とも言えませんわ。それがどうかしましたか?」
「あぁ、もしかしたら俺みたいに違う世界から呼び出されて、死神のゲームに参加させられてる人がいないかと思ってな」
もしそのような同類が見つかれば、剣の姿でこの世界に転生したことに少しは納得できるのだが。
俺は何か世界に影響を与えるようなことをしたから死神に選ばれたのか、それともただの死神の気まぐれか。
「まぁ前者はないな。俺剣道くらいしか真面目にやってなかったもんな」
「ケンドー、とは?」
「ありゃ、声に出てたか。剣道ってのは俺が得意な……あれ?記憶が……」
どうも、肉付き骨です。
なんだかあっけない感じで初陣を越えてしまいましたが、これから先の戦闘はもっと激しくなるでしょう。たぶん。
さて、二人が感じる違和感の正体は何なのか?いずれ明らかになっていきます。
ちなみに今作中のエクスカリバーの重さは約30㎏。分かりやすいもので例えると30㎏の砂袋くらいですね。(え
次回更新は11/7を予定しています。
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