HR(ホームルーム)、またの名を帰りの会
ちょっと異質なファンタジー。
今作はなるべく一話を短く書いていきたいですね。
批評等、何かお気付きになった点がありましたら、コメントをしていただけるとありがたいです。
七時間目終了のチャイムが鳴り、退屈な数Ⅱの授業から解放されることを脳が喜び、俺、鉄剣司の現金な瞼が力を取り戻し目を開かせた。
「じゃあ今日はここまで。HRで連絡があるそうだから担任の先生が来るまで帰るなよ」
わかったわかった。どうせ来週の球技大会のことだろ?
さっきまで机に突っ伏していた号令係もチャイムを聞き逃さなかったようで、すぐさま号令をかけ、いそいそと帰り支度を始めた。
自分も帰りの支度を進めていると、急いで準備を終わらせたのか、教室の前の方から眼鏡の幼馴染みが笑顔で歩いて来た。
「お目覚めかケンちゃん?」
「うっせ。ノジも寝てただろが」
彼は野島慧。幼稚園以来の友人だ。
いや、腐れ縁と言った方が正しいだろう。
野島と二言三言話すと、今度は左隣から柔らかく叱責が飛んできた。
「もう、二人とも授業は寝ちゃ駄目だって言ってるでしょ?」
「分かっていても俺は睡魔には勝てる気がしないよ」
「スズちゃんは真面目だねー」
ショートヘアの彼女は鈴木梨花。
鈴木も野島と同じく幼稚園からの腐れ縁だ。
いわゆる叱り、もしくはまとめポジションだ。
三人で今日の授業で分からなかったところなどを相談していると、小太りの中年男性教師が出席簿片手に教室に入ってきた。
彼は担任のオガT。本名はたしか小笠原の某。あだ名とは恐ろしいものだ。時折本名を消し去ってしまうほどの魔力を秘めている。
「みんな席に着けー。HR始めるぞー。鉄、ネクタイ曲がってるぞ」
「おっと、ケンちゃん怒られてやんの」
「ほっとけ」
「野島はさっさと席に戻れ」
「おーこわ」
オガTに急かされるがみんなゆっくりと席に戻っていく。
「よし、来週の球技大会についてだが…」
ほらな、予想通り。