貴方が悪い。私も悪い。
「別れよう」
それは、突然告げられたものだった…
彼から告げられたその言葉に、私は疑問を持った…
「どうして?」
「…いえない」
「…なんでよ」
「お前が泣くかもしれない…だからだ」
「…そ」
「すまない…俺も、気がおかしいよ…まったく、狂った男だな、俺は…」
「…まったくだわ」
…この時は、大丈夫だった。
この時、まだ彼は私の事を心配してくれてる。私をまだ思ってはくれてる。
でも、見ちゃったの。貴方を見かけて、尾行をした時。
キャバクラで貴方が綺麗な女性に頬を染めながら、キスするのを。
浮気ダッタンダ――――――――――――――――――
「…バカ」
私は走った。
恐怖から逃げるように。
…ごめんね。
「…許さない」
右手に持ってしまったナイフ。
それを持ってまた走る私。
私はこれから、やってはいけないことをやってしまう…
ごめんね。私、浮気だけは許せないの。
やっちゃいけないってことはわかってる。でも、体が止まらない。
いう事を聞かないの。何度も何度も「やめて」って言ってるのに。
止めたいけど、止められない。
制御したいけど、制御できない。
ナイフを捨てたいけど捨てられない。
許したいけど、許せない…
止まらない体が止まり、着いた所は貴方の家。
家に、明かりがついてる。人影も見える。
「…貴方が居るんだ。」
私の口が放った言葉。私の手はナイフをギュっと握り、
貴方の家へ…貴方の家へ…
そして…
やっと我に戻ったと思ったのに、気がついたら私は…
血の水溜りの上に…
そして貴方はそこで倒れてる…
私が握ってたナイフは赤く染まってる…
ナイフを、私は落とした。
でも、遅すぎた。
これは元々は貴方のせい…でも、
私に罪がないなんて事はない…
やりすぎた…
私にも、貴方の命を奪ってしまった罪がある…
だから、自分の命で償おう…その罪を…
私は、落としたナイフを拾い、自分の首へ刃を向ける…
そして、私も貴方の元へ…