9話目 転機
ここからは後半戦のつもりです(*^_^*)
お付き合いください。
春休みが終わって、学校が始まった。
きっと、今まで通りの毎日がやってくるのだと漠然と想いを馳せる。
最後の慶林館生活を、楽しく送りたいと思っていた、その矢先だった。
「ねぇ、校門のところに超イケメンがいるんだけど!!」
クラスのみんなは一気にざわめき、校門に駆け出す人が何人か、そして他の人たちは教室の窓から校門をのぞく。
いくら御三家といえど、ここは女子校だからみんなイケメンという言葉に敏感だ。
私も少し興味を持って、窓から見ることにした。
こういうのは、彼氏とはまた別物だ。
「ほんとだ~」
「格好いいね~」
「誰か待ってるのかな~」
私は、校門のところに立っている人を見て心臓が止まるかと思った。
だって、そこにいたのは・・・怜央君だったから。
「どうしたの、実樹。顔青いよ?」
優佳が心配してくれる。
私は何も話すことができなかった。
ずっと、会いたくて、でも会えなかった人・・・
「知ってる人?あっ・・・もしかして・・・」
どうやら気付いたようだ。
優佳は、私が中学一年生の時に怜央君ととって、生徒手帳に入れてあった写真を見たことがある。
「みーじゅー!!」
一番最初に校門のところに走って行った子が廊下を走りながら私の名前を呼ぶ。
がらっ
ドアを開けると、入口付近で私に向かって叫んだ。
「実樹!あんた呼ばれてたよ!!あの、イケメンに!!」
みんなが「え~?!」と叫ぶ。
正直、あまり怜央君と会いたくなかった。
どうして今さら・・・
でもいつまでもこの教室にいるわけにはいかない。
私は覚悟を決めて、校門に向かうことにした。