7話目 新しい恋
怜央君と連絡を絶ってから早2ヶ月。
私も来月からは高3だ。
寿々木君と話して以来、塾にもだんだん友達が増えてきて、今ではみんなの輪に入って話をすることができるようになった。
私の毎日は変わらない。
朝起きて準備して学校に行き、授業をして、終わったら塾で授業。授業の後は自習、そして帰宅。
昨日からは春休みに入ったので、学校の部分が塾での自習に変わった。
なんの変化もない日常。
勉強と勉強の合間にはぼーっとしてみたり、自習室にいる他の人と話したり、私はそんな毎日が暖かくて好きだった。
「あの、俺さ。その、栗河さんのことが好きだ!付き合ってほしい。」
頬を赤く染めて唐突に言われたことを、最初、理解できなかった。
しばらくまじまじと寿々木君を見てしまった。
どうやら、嘘や冗談ではないらしい。
そして、言葉を理解した瞬間、急激に頬が熱くなるのが分かった。
小学校のころから怜央君一筋だった私は、最後に告白された小学校6年生の卒業式の日も何も考えずフッてしまったし、それからは中、高と女子校5年間で男の子に告白されることなんてなかった。
嬉しくはある。
でも、こんな踏ん切りのついていない気持ちで告白にこたえるわけにはいかない。
「あ・・・ご、ごめんなさい・・・私、好きな人がいて・・・あっ、今現在はあきらめようと思っているんだけど、こんな気持ちで付き合っていたら迷惑だし・・・」
ななめ下を向きながらそう言うと、しばらく沈黙があった。
「・・・いいよ。」
「え?」
これまた唐突な言葉に、寿々木君の方を見ると、彼はまっすぐに私を見ていた。
いい、って何が・・・?
「俺、栗河さんが好きな人いるのなんとなく気づいてた。嬉しそうに携帯開いては落ち込んだように携帯閉じて。でも、いいんだ。俺、その人のこと忘れさせるよ。今はまだ、2番でもいい。付き合ってほしいんだ。」
昔の、私の告白がよみがえる。
『でもね、私も怜央君好きだよ!これから、アタックする!私、怜央君のこと大好きだから!』
必死な想いが伝わってくる。
好きに、なれるかな・・・?
怜央君よりも、好きになれるのかな・・・?
なりたい。
寿々木君を好きに、なりたい。
私は寿々木君の手を握り、よろしくね、と言ったのだった。