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2話目     区切り

案外、怜央君と離れるのも簡単だった。

私から連絡しなければいい。

私から彼の家に、大学に、バイト先に行かなければいい。


思い返してみると、私はつくづくストーカーみたいなおんなだったんだな、と分かる。

これは、迷惑がるはずだ・・・


私は家と、学校と、塾との3つを電車と徒歩で往復して、何も考えず日々を過ごす。



1日、3日、1週間、10日、2週間・・・



最初は携帯につい手が伸びてしまったり、彼の家がある駅で降りそうになったりもしたけれど、日が経つにつれて、だんだん、だんだん。


転んでしまった傷が癒えていくように、私の、怜央君への想いは昇華していく。




ついに1カ月がたった。

そろそろ、怜央君は私がいないことに気づいてくれただろうか。

連絡をとらないのを、おかしいと思ってくれただろうか。


怜央君離れすると決意したのに、いつも考えてしまい、それに気づいては自己嫌悪する。




「実樹最近元気ないね~お得意の怜央君はどうなったの?」


「うーん・・・あきらめた。」



机に上半身を倒して、クラスメイトの優佳にそう言うと、それを聞いていたのか、まわりの女子たちが「え~~??」とこぼして、私の机のまわりによってきた。




「ねぇ、実樹、本当にあきらめちゃったの?」


「なんでなんで?」


「あんなに大好き~って言ってたのに!」



みんな悪気はないのだろうけれど、少し悲しくなる。

私だって、好きであきらめたわけじゃない。

でも、私が怜央君を好きだと言ってはばからない様子を知っているクラスメイトには、本当に心配されてしまった。



「うーん。まぁ、私、怜央君の眼中に入らないって気付いたから。もう、駄目だって思ったの。それだけ。」



クラスメイトたちはあまり納得していなさそうだったけれど、彼女の妊娠云々を話す気にはならない。それ以上私が話す気がないと分かったのか、彼女らはそっか~、大丈夫だよ、実樹ならいい人見つかるよ、と言って移動教室に向かってしまった。



「実樹、何があったの?怜央君に彼女ができても、その度にまだ頑張るって言っていたのに・・・」



優佳は、無言のままである私の頭をそっとなでると、さっと立ちあがって自分も移動教室に行ってしまった。

一人になりたい私には、ありがたい気遣いだった。

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