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14話目    本音

ちょっと長いです。

2人の本音が飛び交います。

いつまでたってもうつむいて何も言わない私にしびれを切らしたのか、怜央君の手が私の顎を無理矢理持ち上げる。



「やだっ」



押さえきれなくなった涙が頬を伝っていた。

私は顔を左右に振って怜央君の手をむりやりはずそうとする。

それでも、怜央君の手ははずれない。


もういちど首を振る。

それでも外れない。


そんなことを繰り返しているうちに怜央君と目があった。


偶発的に(怜央君にとっては意図的だったのだろうけど)あってしまった目は、自分から外すことはできない。

怜央君は私の目じりの涙を指先で拭うと、顔を近づけてきた。



・・・キス、される!!



そう感じて手で怜央君の顔を押し返した。



「やだっ!そんなことしないでよ!怜央君は、怜央君はわたしの気持ち、分かってるのに、どうして、どうしてそんなことをするの?!好きだって、知ってるのに、どうして他の女の人と付き合うの?!どうして・・・」


「悪かった。」



ぎゅっと抱きしめられて、硬直してしまった。

私の首元に怜央君の顔があって、そこに熱い吐息を感じる。



「悪かったって・・・私が、どんな気持ちでこの14年間・・・私が誘っても、大体ドタキャンだし、メールも電話も・・・ほとんど・・・。私、限界だった。怜央君を、好きでいるのも、追いかけるのも、迷惑がられるのも、もう全部嫌になったの。私が、全部やめたのは、怜央君から離れようと思ったから。好きだけど、好きだから、これ以上そばにいられないって思った。それだけ。」



そこまで言うと、私は顔を両手で覆った。


全部、全部言ってしまった・・・。

初めて彼女が出来たっていう怜央君にも言わなかったことだったのに。

うざがられるって、思ったから・・・



少しの間沈黙していた怜央君は、急に私が覆っていた手を外させたかと思うと、キスをしてきた。

軽い、ほんのちょっとちゅっとしたやつ。



「なっ!!に、するの?!私の話、聞いてた?!怜央君がどういうつもりであんなことをしたことか知らないけど、私全部忘れる!私・・・んっ」



次のキスは濃厚だった。

舌が、怜央君の舌が私の口の中を動き回る。


しばらくして口を離した私たちの間に、一本の細い銀糸が垂れた。

もはや脱力して何もすることができない。



「悪かった。実樹が俺を好きなのはずっと、知ってた。その気持ちにあぐらをかいていたのも俺だ。いつでも、実樹は俺のことが好きで、追いかけてきて、そばにいるもんだと思ってた。それが、急に会いに来なくなって、連絡もなくなって、こっちから連絡しようとしたら着信拒否?俺、お前がいなくなってからようやく気付いた。」



私は力を振り絞って顔を上げる。



「実樹が好きだったんだ・・・いろんな女と付き合ったけど、連絡しすぎる奴は重いから別れて、家に来るやつだって絶対にあげないし、合鍵なんて・・・バイト先に押し掛けてくる女なんてなおさらだ。」



全部、私がしていたことだ・・・。



「迷惑そうなふりをしても、心のどこかでは追いかけられることにどこかで満足していた。お前にはつかまらないんだ、って。追いかけられるのが普通だって。連絡が来なくなってからは、少し待った。お前はどんな時でもかならず一日メール5回以上送ってくるのに、来ないのは、何かあったのかもしれないって思った。すぐ、また来るって思ってたんだ。」



徐々に力が入るようになった手で怜央君の右手を握る。

怜央君は少し私の方を見ると、またうつむいた。



「でも来なかった。家に行こうかと思ったけど、おばさんがいつでもいて、何かあったと思われたら大変だ。俺はお前が春休みの間どこで、何をしているかも知らなかった。交友関係もだ。だから、学校に行くしかないと思った。春休みが終わって新学期が始まるまでの期間が長かった・・・」



そこまで言うと、後はお前の知っている通りだ、といって私のことを引き寄せる。



「失ってから大切さに気付くなんて、俺は馬鹿だ。でも、実樹が好きだ。」


「それって・・・ただの独占欲じゃないの?」



怜央君の言葉をそのまま鵜呑みにはできなかった。

好きといっても、それは子供がお気に入りのおもちゃに対して感じる好きじゃないのか。



「好きだ。お前になら何をされても許せた。嬉しかった。愛してる。そばにいてほしい。」




だまされるなら、最後まで行こう。


私は、怜央君の首に抱きついた。

次でとりあえず完結予定です!

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