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前世が大魔道士だった俺、宇宙戦艦を魔改造して銀河を成り上がる〜退役寸前のゴミ艦隊ですが、魔法で動かせば最強です〜  作者: オカノヒカル


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第11話 人が入るゴーレム? なら無人で動かせばいい

 その少し前。


 揚陸部隊を送り出したあとも、俺は《アーク・ロズベル》の格納庫に残っていた。

 整備架の端には、出撃しなかった強化揚陸装甲が一機、固定されたまま立っている。


 予備三号機。


 傷だらけの装甲は何度も塗り直され、左脚だけ色が違っていた。別の機体から移植した部品なのだろう。

 グレッグたちが乗っていった六機と、基本的な形は変わらない。

 人に似た胴体と二本の腕。

 背中には短距離用の推進器があり、脚部には船体へ固定するための磁気機構が付いている。


 これほど人の形に近いなら、中に人を入れなくても動くのではないか?


「セラ」

「はい、司令」

「これは、どうやって動かす」


 セラは端末から顔を上げた。


「搭乗者の動作入力を補助制御系が読み取ります。手足の動きや神経反応を機体側で増幅し、姿勢制御と駆動系へ反映する仕組みです」

「人が骨の中に入り、神経を貸すわけか」

「かなり不穏な言い方ですが、大まかには合っています」

「人が入るゴーレムだな」

「強化揚陸装甲です」

『“ゴーレム”を人型作業機械と解釈した場合、構造上の類似点はあります』

「ノア。司令に余計な納得材料を与えないでください」

『事実関係の補足です』

「変なことではない」

「十分に変です」


 セラは端末へ機体の制御経路を表示した。

 搭乗者からの入力は、胸部の操縦槽から補助制御系へ入り、姿勢制御と各関節へ送られる。

 人が動けば、機体がその動きを追うらしい。


「なら、外から同じ命令を入れればいい」

「通常の遠隔操作では無理です」

「なぜだ」

「装甲側の制御装置は、搭乗者の動作を補助するために作られています。人がいない状態で、全身の姿勢や重心を遠隔制御する機能はありません」

「ノアに補わせればいい」

『理論上、姿勢制御の一部は補助可能です。ただし、既存規格に無人運用手順はありません』

「なら、作ればいい」


 セラが端末を胸元へ引き、不満げな顔を浮かべる。


「その前に、確認しておきます。巨大構造物の内部では通信が乱れています。こちらから細かな動きを指示しても、遅延や映像の欠落で転倒する可能性があります」

「電波だけで動かす必要はない」

「司令?」

「魔法で命令を通す」


 セラの眉間に皺が寄った。


『警告。司令官の発言に、未登録運用案の兆候を確認』

「まだ何もしていないぞ」

『過去の行動記録から、事前警告が必要と判断しました』

「学習していますね、ノア」

『肯定』


 少し不利になってきた気がする。


 俺は予備三号機の胸部装甲を見た。

 機体の中には、搭乗者が座るための空間がある。仕組みとしては、人が命令を出して機械が手足を動かす。

 ゴーレムと大差はない。

 中に入る人間の代わりに、命令を受け取る仮の核を置けばいい。


「肩だけ動かしてみる」

「待ってください」


 セラは機体の整備状態を確認し、非常停止画面を開いた。


「整備架の固定を維持。駆動出力は最低値に制限します。ノア、肩関節以外への入力は遮断してください」

『了解。予備三号機、試験監視を開始』

「肩だけですよ」

「分かっている」

「脚も指も推進器も動かさないでください」

「分かっている」

「本当に?」

「今回はな」


 セラがこちらを睨んだ。だが、それ以上は何も言わない。


 許可は出たらしい。

 俺は装甲の胸へ手を置いた。

 冷たい外板の奥に、細い制御回路がある。操縦者の入力を受け取るための道だ。

 そこへ、ごく弱い魔力を通した。


 大きな力はいらない。

 命令を一つだけ置く。


 右肩を上げろ。


 強化揚陸装甲の肩が、かすかに動いた。


『予備三号機、右肩部サーボに反応』

『操縦者、生体反応なし』

『未登録入力を確認』


 セラが端末を凝視する。


「動きましたね」

「動いたな」

「そこを嬉しそうに言わないでください」

「肩が動くなら、腕も動く」

「肩だけという約束です」

「今日は動かさない」

「今日は?」


 そのとき、格納庫内へ警報が響いた。


『緊急信号を受信』


 ノアの声が硬くなる。


『巨大構造物内部にて、複数の未登録自律機械が起動』

『グレッグ隊、撤退を開始』

『通常音声回線、不安定』


 セラが試験画面を閉じ、揚陸部隊の監視情報を開いた。


「映像を出してください」

『転送します』


 壁面に、ノイズの混じった映像が表示された。

 青白い結晶脈が走る通路。

 床や壁から現れる六本脚の機械。さらに天井付近へ浮かぶ球形機械。

 グレッグ隊は射撃しながら、入口へ向かって後退している。


〈部隊、後方にも反応!〉

〈退路を制圧して抜ける。隊列を崩すな!〉


 グレッグの声が、途切れながら届いた。

 敵を倒すことに固執せず、部下を連れて戻ろうとしている。

 だが、防衛機械の数が増えていた。


『揚陸隊五名、入口方向へ移動中』

『グレッグ隊長機、最後尾』

『隊長機右腕部に損傷』

「救援は?」


 俺が聞くと、セラは別の航路を表示した。


「有人の作業艇を出しても間に合いません。接敵位置まで二十分近くかかります」

『作業艇二番を無人運用へ切り替え可能』


 ノアが新しい航路を表示する。


『乗員保護用の加速制限を解除し、小惑星帯を直線経路で通過した場合、到達予測二分四十二秒』

「危険な航路ですね」

『有人運用は推奨できません』

「無人なら構わんだろ」

「艇が壊れる可能性があります」

「グレッグが死ぬよりはいい」


 画面の中で、若い隊員の脚が拘束ワイヤーに捕まった。

 グレッグが引き返す。

 敵機を押しのけ、隊員を助けている。


 あのままでは、グレッグだけが取り残される。


「予備三号機を出す」


 セラがこちらを向いた。


「操縦者がいません」

「俺が動かす。動かせただろ?」

「肩を動かしただけです」

「間に合う可能性はある」

『予備三号機は左脚姿勢制御系に既知の不具合があります』

「ノアが支えろ」

『姿勢制御の補助は可能です。ただし、司令官による命令入力との整合性は未確認です』

「合わせればいい」

「簡単に言いますね……」


 セラはグレッグ隊の位置と、予備三号機の状態を何度も見比べた。


「やるなら、私とノアの監視下です」

「分かった」

「出力制限はこちらで持ちます。司令は勝手に上げないでください」

「必要な分だけだ」

「その必要量が信用できません」

『セラ副官の懸念は妥当です』

「二人とも厳しいな」

「人を助けるために、別の事故を起こすわけにはいきません」


 これ以上、壊す余裕もない。


「任せる」


 セラはすぐに動いた。


「整備班、予備三号機を作業艇二番へ固定してください。艇は無人運用。装甲側の関節保護を最優先します」

『作業艇二番、遠隔航行系を起動』

『ステーション17を経由し、中継回線を確立します』


 整備架の固定が外される。

 俺は予備三号機の胸部へ、改めて手を置いた。


 装甲が骨で、駆動部が筋肉。そして制御回路が神経だと思えば、操縦は苦ではない。

 ゴーレムを操る手順で、空の操縦槽へと命令を受け取る仮の核を置く。


 立て。


 機体の膝が伸びた。左脚が一拍遅れ、上体が傾く。


『姿勢崩壊を予測』

「ノア」

『補正します』


 機体が踏みとどまった。

 セラが次々と制限を掛けていく。


「関節出力、四割。左脚は三割。推進器は短時間噴射のみ。右腕の外部作業電極は二割から始めます」

「低すぎないか」

「機体を現地まで届ける必要があります。格納庫で壊してどうするんですか」

「分かった」


 予備三号機が歩き始めた。

 動きは鈍いが、ノアの補正が入るたびに姿勢が整っていく。

 俺の命令は大まかなものだけでいい。


 進め。

 止まれ。

 腕を上げろ。

 重心を戻せ。


 細かな関節制御はノアが補い、セラが出力と冷却を監視する。

 俺は大まかな命令だけを通せばいい。


「作業艇への固定を確認」


 セラが言う。


『予備三号機、固定完了』

『作業艇二番、発進します』


 格納庫の隔壁が閉じた。


 無人の作業艇が射出され、旧鉱山帯の闇へ飛び出す。


『直線航路へ移行』

『自動回避限界を超える小型デブリを確認』

『外装への軽微な衝突を許容し、進路を維持します』

「壊すなよ」

『任務達成を優先します』


 ノアも随分と大胆になったものだ。


 作業艇から届く映像は何度も乱れた。

 ステーション17を経由した中継回線で、位置情報と機体姿勢、損傷状態が優先的に送られてくる。


『グレッグ隊長機、右腕駆動低下』

『背部推進器出力、低下』

『揚陸隊五名、構造物出口まで残り十四メートル』


 グレッグだけが、まだ撤退できていない。


「急げ」

『作業艇二番、対象外殻まで残り五十秒』


 俺は装甲へ通した術式を維持した。


 格納庫にいる俺の身体は動いていない。それでも、意識の半分は遠くの装甲へ入り込んでいる。

 ノアが拾う断続的な映像に、術式から返る感覚が重なる。


 足が艇の固定具へ当たれば、膝の奥に鈍い抵抗が返る。

 作業艇がデブリをかすめれば、肩口に小さな揺れを感じる。


 自分の身体ではない。

 それでも、命令を通すたび、機体の動きが自分の手足に近づいていく。


『作業艇二番、巨大構造物外殻へ到達』

「装甲固定を解除」

『解除します』


 予備三号機が作業艇から飛び出した。

 背部推進器を短く噴かし、外殻の裂け目へ向かう。


 左脚が外殻へ触れた。

 磁気固定がうまく働かない。


『姿勢不安定』

「踏ん張れ」


 左膝へ命令を通す。

 ノアが姿勢を補い、機体が外殻へ立った。


『作業艇二番、裂け目付近で通信中継を継続』

『予備三号機、構造物内部へ進入』


 暗い通路が映る。

 映像は荒く、ところどころ欠けていた。

 壁面に青白い筋が走っている。

 防衛機械が動くたび、その一部が明滅していた。


『グレッグ隊長機、前方二十七メートル』

『敵性反応、複数』


 通路の奥に、グレッグの乗る強化揚陸装甲がいた。

 右腕を壊され、背部推進器も出力を落としている。


 それでも、部下の退路を守るように立っていた。


 正面では、三体の球形機械が光を集めている。


「間に入れ」


 予備三号機が床を蹴った。

 左脚が遅れる。

 ノアが姿勢を補正し、どうにか前へ出る。


 グレッグと防衛機械の間へ割り込んだ直後、三本の光が走った。


「左腕を上げろ!」


 予備三号機が左腕で射線を受ける。

 装甲表面へ黄金の線を広げ、熱を散らす。


 全部は消せない。


 左腕の外装が赤く焼け、関節部から白い冷却剤が噴き出した。


『左腕部外装、温度上昇』

『左腕関節、過負荷』

『冷却剤漏出』

「まだ動く」

「もう一度受けたら持ちません!」


 セラが出力制限を調整する。


『予備三号機の近距離通信が、グレッグ隊長機を捕捉』

『作業艇二番を経由し、音声回線を再接続します』

〈……誰が、乗っている?〉


 グレッグの声が届いた。


「誰も乗っていない」

〈司令?〉

「俺が動かしている」

〈意味が分かりませんな〉

「俺も、この機械については詳しくない」

〈でしょうな!〉


 声に力はある。

 なら、まだ動ける。


 蜘蛛型の機械が二体、予備三号機へ飛びかかってきた。


 右腕を前へ出す。

 外部作業電極へ、細く魔力を通した。雷撃魔法の手順だ。


 相手を砕くほどの威力は出せない。露出した制御部だけを焼く。


 黄金の雷が先頭の蜘蛛型へ落ちた。


 六本の脚が固まり、機体が床へ崩れる。

 接触していた二体目へ細い光が跳ね、そちらも姿勢を失った。

 続けて、右側の球形機械へ雷撃を向ける。


 表面に火花が走り、照準光が消えた。


『前方の蜘蛛型二体、制御停止』

『球形機械一体、照準機能喪失』

『残存敵性反応、複数』

「奥の機械は止まっていません!」

「退路は開いた」


 グレッグの後ろには、出口へ続く道がある。


「グレッグ、走れるか」

〈隊長を走らせる司令は初めてですな〉

「生きて帰るなら何でもいい」

〈了解。走ります〉


 グレッグの機体が動いた。よろよろとしながらも、徐々に走るスピードを上げていく。


 俺は予備三号機を一歩前へ出し、追撃する機械との間に入った。


 床から拘束ワイヤーが伸びてくる。


「右下だ」

『捕捉』


 ノアが駆動部の位置を表示する。


 雷撃を細く落とし、ワイヤーを巻き取る機構だけを焼いた。


 床面の拘束具が止まる。

 さらに球形機械が照準を合わせてきた。


 右腕の作業電極へ、もう一度魔力を通す。

 光が走り、球形機械の姿勢が崩れた。


 同時に、予備三号機の右腕が大きく震える。


『右腕部外部作業電極、過熱』

『右腕部制御系、部分停止』


 腕が下がった。


「右腕が動きません!」

「左は?」

「ビームを受けて冷却剤が漏れています!」

「身体は残っているな」

「戦い続ける判断は認めません!」


 もう戦う必要はない。

 グレッグたちは、すでに裂け目へ近づいている。予備機もこれ以上は傷めたくない。

 機体を後退させる。


 しつこく蜘蛛型が追ってきた。


 機体の肩をぶつけ、先頭の一体を通路の壁へ押し込んだ。


 装甲同士が擦れ、火花が散る。


『左脚姿勢制御、悪化』

『機体転倒の可能性』

「ノア、姿勢制御でなんとかしろ」

『補正を継続』

「セラ、あと少しだ」

「分かっています。推進器を一度だけ使えます。その後は冷却限界です」

「使ってくれ」


 背部推進器が短く噴いた。

 予備三号機が後方へ跳び、グレッグ隊との距離を詰める。


『揚陸隊、作業艇一番へ収容開始』

『グレッグ隊長機、収容圏内』


 若い隊員たちの声が聞こえた。


〈隊長、急いでください!〉

〈止まるな。先に乗れ!〉

「グレッグ」

〈分かっています!〉


 グレッグの機体が作業艇へたどり着く。


『揚陸隊六名、収容完了』

『死亡者なし』


 それを聞いて、力を抜いた。


「予備三号機を戻す」

『作業艇二番を入口へ接近させます』


 敵性機械は、まだ通路の奥で動いていた。

 予備三号機には、もう攻撃できる腕がない。


 だが、倒す必要もないか。


 入口まで下がり、待機していた作業艇二番へ身体を固定する。


『予備三号機、回収完了』

『作業艇二番、離脱します』


 巨大構造物の裂け目が遠ざかった。

 壁の青白い筋は、最後まで淡く明滅している。


 こちらを追ってくる様子はない。


 術式を解くと、遠くの装甲へ置いていた意識が戻ってきた。

 視界の端に残っていた暗い通路が薄れ、《アーク・ロズベル》の格納庫がはっきり見え始める。

 床を踏む自分の身体の重さも戻った。


 少し酔うな。


 次に使うなら調整が必要だ。


「司令」


 セラが端末を抱えたまま、不思議そうにこちらを見ている。


「今、どこを見ていました?」

「作業艇の中だ」

「予備機からの映像は表示されていませんが」

「意識を半分だけ入れたから、その影響だ」


 セラが黙り、ノアが反応する。


『新規記録項目を追加します』

「追加しなくていい」

『必要です』

「司令」

「何だ?」

「あとで詳しく聞きます」


 また事情聴取が増えるらしい。


**


 先に戻った作業艇一番から、グレッグ隊が降りてきた。


 装甲のあちこちに焦げ跡が残っている。

 右腕を壊されたグレッグの機体は、整備班に支えられてようやく歩いていた。


 医療班が隊員たちを引き取り、一人ずつ負傷状態を確認する。

 若い隊員は装甲を降りた途端、その場へ座り込んだ。

 グレッグも顔色は悪い。それでも、俺の前まで来ると敬礼した。


「司令。命を拾いました。この借りは、いつか必ず」

「借りは治ってから返せ」

「返す頃には、また増えていそうですな」

「なら、長生きしろ」


 グレッグは敬礼した手を、しばらく下ろさなかった。


「了解しました」


 続いて、無人の作業艇二番が帰還した。

 予備三号機が整備架へ運ばれる。


 左腕の装甲は赤黒く焼け、関節部から冷却剤が漏れていた。右腕は力なく下がり、色の違う左脚も出撃前より大きく歪んでいる。


「損傷報告です」


 セラが端末を読み上げる。


「左腕外装焼損。左腕関節過負荷、冷却剤漏出。右腕外部作業電極および制御系焼損。左脚姿勢制御悪化。通信系と冷却系にも過負荷があります」

「よく戻った」

「作業艇がなければ、戻せませんでした」

「作業艇も労っておけ」

『作業艇二番、外装損傷軽微。航行機能を維持』

「そちらもよく働いた」

『記録します』


 セラが端末を閉じかけ、こちらを見た。


「無人装甲が使えることは分かりました」

「そうだろう」

「ただし、今のままでは実用運用できません」

「なぜだ」

「司令、私、ノアの三者が付ききりです。予備三号機も一度の救援で両腕が使えなくなりました。作業艇も必要です。通信中継が切れれば、姿勢制御も映像も失います」

「直すところが分かったな」

「そういう意味で言ったのではありません」

「だが、直せば次はもっと動く」

「否定はしません。無人偵察に使える可能性もあります」


 セラは焦げた装甲を見上げた。


「有人部隊を危険区画へ入れる前に、表層だけ確認させる。作業艇で運び、ノアの補助範囲内だけで使う。それなら、検討する価値はあります」

「次は最初から無人で行けるな」

「まず修理です」

「飯も必要か」

「整備班には出してください」

「分かった」


 ノアが、揚陸部隊と予備三号機の記録を再解析していた。


『追加報告』


 格納庫の壁面へ、巨大構造物内部の簡易図が表示される。


 グレッグ隊が設置したセンサー。

 起動した防衛機械。

 壁面を走る青白い反応。


 そして、さらに奥にある、強い反応。


『防衛機械起動時の記録を再解析』

『巨大構造物深部に、高密度未登録媒質反応を確認』

『星脈結晶サンプル周辺で確認された反応と、部分的に一致』

「俺の雷撃が原因か?」

『因果関係は判定不能です』

『防衛機械の起動によって、既存反応が一時的に観測可能となった可能性があります』

「奥に、何かあるのは確かですね」


 セラが内部図を拡大した。


「ですが、今度は有人部隊を送りません。予備三号機の修理と解析が先です」

「分かっている」

「本当に?」

「今はな」


 セラは疑わしそうだったが、追及はしなかった。


『さらに報告』


 ノアが、ステーション17の旧記録を壁面へ表示する。


『巨大構造物の反応位置と関連する可能性がある、旧補給記録を確認』

「施設名か?」

『断定不能です』

『記録の破損が大きく、識別対象、施設名、計画名の判別は不可能』


 崩れた文字列が、一つずつ復元されていく。


「何と書いてある」

『残存文字列を表示します』


 壁面に、短い単語だけが残った。


『アーク』


 《アーク・ロズベル》と同じ名だった。


■あとがき


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


続きが気になる方は、ブックマークしていただけると嬉しいです。

評価やリアクション、感想も、今後の執筆の大きな励みになります。


これからもよろしくお願いします。


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