第一章 魔王城
宇宙のいかなる天体地図にも記載されていない暗黒星域。そこに、人族と魔族が対立して存在する星があった。
不穏な雷鳴が轟き、紫色の稲妻が幾重にも引き裂く禍々しい空。その中心にそびえ立つのが、全魔族の支配者たる魔王『マオウ』の居城——魔王城である。
玉座の間には、不気味な刺のついた漆黒の鎧を纏い、頭部から立派な二本の角を生やしたマオウが、尊大にふんぞり返っていた。その左右には、モノクルをかけた老執事『セバス』と、美しい羽と角を持つ小悪魔風の秘書『ヒショカ』が控えている。二人のステータスは次のようになっている。
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【ステータスパネル】
名前:セバス
職業:執事
身長:130cm
HP:25
MP:22
武力:21
魔力:19
速さ:18
知力:15
特記:マオウとは小学校の同級生である。
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【ステータスパネル】
名前:ヒショカ
職業:秘書
身長:170cm
HP:84
MP:58
武力:90
魔力:46
速さ:77
知力:21
特記:魔界で最もかわいいと本人は思い込んでいる。
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「マオウ様、ついに念願のあの至宝を手に入れました」
ヒショカは、得意気に口を開いた。
「セバスちゃん、例のものをここへ」
続いてヒショカは、執事であるセバスに命令をした。
「はあ、よっこらしょ…」
セバスが太いロープで引きずってきたのは、周囲に不気味なドクロの装飾が施され、鏡面が黒い渦のようにうねる巨大な鏡であった。
「おお…これがあの、真実のみを映し出すという『ジーの鏡』か」
マオウが目を輝かせる。ヒショカは胸を張り、フンと鼻を鳴らした。
「はい。昨今のAIとは違い、決して嘘をつきません」
ヒショカのセリフの中で聞きなれない言葉を耳にしたマオウとセバスであった。
「ア?」
「イ?」
二人の頭から?が飛び出し、首を傾げていた。
「まあよい。と、とりあえず試してみるか」
気を取り直したマオウは立ち上がり、鏡の前に立つと、自身の顔をうっとりと眺めながら、どこかで聞いたことのあるようなセリフを口にした。
「鏡よ 鏡よ 鏡ちゃん。この世で最も強い者はだ〜れ?」
当然世代の異なるヒショカには、このセリフが何のことなのかはわからなかったが、同世代であるセバスにはしっかり伝わっていた。
「ふるっ…」
セバスはあきれ顔をしながら小声で呟いた。
鏡は中心から渦を巻きながらまばゆい光を放ち、おどろおどろしい声が響き渡った。
『それは、マオウ様です。2位から100位までが束になってかかっても、到底敵いません』
「でへへ…」
あまりの絶賛ぶりに、さしものマオウもデレデレと締まりのない笑みを浮かべた。鏡に映っていたマオウの顔も、同じようにデレデレとしたものへと変わった。背中越しに見ていたヒショカだったが、鏡の中のマオウがだらしない顔になっているのを、しっかりとらえてしまった。
マオウは、そんなだらしない顔を見られたことも知らず、自信満々にヒショカに命令を下した。
「ヒショカよ、近日中に魔族全員を集めよ!」
ヒショカはそれを聞き、ついにこの時が来たと嬉しそうに返した。
「ついに人間界征服の決起集会ですね」
目を輝かせ、征服の野望に胸を躍らせるのだった。そしてセバスも、これに続いた。
「まったくも~、遅かったくらいです」




