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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第三章 ガルディア帝国編
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第六話 潜入はつらいよ①

 帝国の襲撃者を退けた寅二郎たちは、

 礼拝堂へと移り今後について話し合っていた。


「魔弾銃製作工場はコルンハーグにある。

 その地図、建物の見取り図まで入っていた」


 マーリンが密書を取り出す。

 寅二郎たちが覗き込むと、

 命がけで入手したのだろう、所々血で滲んでいた。


「行くしかないな。このままでは五大国の均衡も崩れかねん」

「よっしゃ、任せろ」やる気の二人だったが、リラは遠慮がちに言った。


「私はどうすれば」

 リラは迷っていた。

 この先待ち受ける困難。自分が足手まといになる懸念。


「正直この先は大変な道行きになるだろう。しかし、この場に残っても同じこと」

 シドはあえて無表情に言った。


「リラちゅわんはどうしたい?」寅二郎がリラをまっすぐに見つめて言った。


「私は……」リラの握られた拳は震えていた。

「私は一緒に行きたい。あの人の意思もある。

 何よりこのまま傍観者に戻るなんて私自身が納得できない!」

 リラはまっすぐに寅二郎を見返した。涙で霞んでいる瞳で。


「分かった。なら俺が守ってやる!リラは俺が守る」寅二郎はシドに言った。


 シドは胸にとげが刺さったような痛みを感じていた。

 しかし、それを隠すようにマーリンに向き直る。


「だそうだ。マーリン、こちらも大変になるだろうが俺たちは行く」


「分かった。こちらはどうとでもするさ。

 せめて君たちの旅の道行きに幸あらんことを祈ろう」

 最早、初対面時の頼りない演技は捨て、

 大司祭の風格を漂わせるマーリンが言った。


「馬を回収して、コルンハーグに潜入するぞ。

 魔王軍との戦争中でもある、気は抜けないぞ」

 マーリンから密書を受け取り、三人は大聖堂を出た。


「リラちゅわん、守ってやるからもっとこっちへ。ほらこの腕の中に」

「馬鹿、歩きづらいでしょ」

「さっきの雰囲気が台無しだ。ホントお前ってやつは」


三人のやり取りを聞きながら、マーリンは見送っていた。


(リラ、やはりあの娘は私の……どうか無事で)


リラは小さい頃、生き別れた妹、その確信をもってマーリンは三人の姿が見えなくなっても見送り続けるのだった。

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