第三話 乗馬はつらいよ③
その後も寅二郎一行は馬を走らせ、
馬の影が伸びてきた頃ついに帝都の検問所が見えてきた。
「ようやくレギオンブルクだな」シドが目を細める。
「ホントにようやくよね」リラも疲れた表情を隠さない。
気が抜けたのか、寅二郎は元気よく
「あと少しだな!全速前進!」と叫び、ふざけてリラの胸に抱きついた。
「ちょっと!馬の上で……」
リラの肘が飛び、驚いた馬が身をよじる。
「うわっ!」
寅二郎は検問所目前で、派手に落馬した。
ようやくたどり着いた検問所。
入場許可をもらうため行列で待っていた寅二郎たちの番が来た。
「レギオンブルクへの目的は?」役人が問う。
「観光だけではダメですか?」リラが尋ねる。
「今、魔王軍と戦争中でね。怪しい者は通すわけに行かないんだ」
「聖ローマン教会に参拝するためです」
「大司祭マーリンとはマブよ、マブ」
「会ったこと無いだろ!適当なこと言うな」
役人は集まり、何事か相談を始めたが、一人がどこかへと走っていきしばし、
「まぁいい。分かった」通してもらえる運びとなった。
ついにレギオンブルクへと足を踏み入れた三人。
大きく伸びをする二人を見ながら、シドは思う。
(面倒事は起きなかったが、情報を渡しすぎたな。
マーリンの名前は出すべきでは無かったか。まだ安心は出来ないぞ)
そんなシドの思いも知らず、
「よおし!とにかく飯だ、飯。行くぞ!二人とも」
馬を牽きながら、寅二郎はノシノシ歩き出した。
「まったく、肝が太いというのか。まったく」
シドはため息を付きながら後を歩き出すのだった。




