表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第三章 ガルディア帝国編
62/77

第二話 大将軍はつらいよ①

 翌朝、三人はギルドを出て帝都への旅を開始した。

 最早見慣れた直線的な造形の建物が並ぶ大通り。中央には馬車用の道路が整備され、両脇の歩道には朝早くから多くの市民が行き来していた。


「勤勉つうのか、こんな朝早くから市民が動き出してるんだなぁ」

「賑やかとは言い難いが、

 みな何がしか職に就いているということだな」


「追手の方は、大丈夫なの?」


「ああ、今はあくまで追跡するだけのつもりのようだ」

 シドはわざとらしく振り返った。

 追手だろう気配も、急ぐでもなく建物の陰に入った。


「どこかで一斉に仕掛けてくるつもりかな」

「近いうちに馬を手に入れて、一気に帝都へ入りたいところだな」

 そんな話を交わしているうち、向こうから憲兵隊の騎馬隊がやって来た。

 朝から酒が入っているのか、下卑た笑い声が聞こえる。

「わざわざ、姿を見せてやることもない、リラ、こちらへ」

 三人が人込みへ身を隠そうとしていたところ、子供が道路へ飛び出した!

 ボールを追いかけていて気付かないのか、子供は馬の前に屈みこんでしまった。


「危ない!」


 リラは思わず飛び出していた!

 子供に覆いかぶさり丸くなる!


ヒヒィン!


 馬がいななき立ち上がり、

 憲兵隊の一人が落馬してしまった。


「貴様ぁ、何のつもりだ!」


 男は立ち上がり叫ぶと、憲兵隊たちはみな馬から降り、リラに迫った。

 その瞬間、子供を庇い身を伏せるリラの前に、

 寅二郎とシドが立ちはだかっていた。


「貴様らも仲間か!」

「いやあ、子供を庇っただけでしょうが」

「さすがは憲兵隊の皆様、

 落馬したそちらの方も大したケガではなさそうで何より」

 リラは子供を庇いながら、憲兵隊を睨んでいる。


 憲兵隊の隊長格と思しき男がつぶやく。

「貴様ら、どこかで」

「あいつら……探索指示にあった連中に似てねぇか?」

 その瞬間、隊員たちに緊張が走る。みな腰の剣に手を添えた。

 そして、緊張があたりを包む。

 リラと子供は恐怖で固まり、寅二郎たちも身構えた。


 市民が叫び方々へ逃げ出し、収拾がつかなくなるだろうというその時、


「静まれ!」


 黒の全身鎧に身を包んだ男が、馬上で一喝した。

 そしてその場のだれもが動けなくなった。

 男は、ゆっくりとその場に馬を進めてくる。


「帝国の治安を預かる憲兵隊が何だこの騒ぎは!」


 男は憲兵隊、リラと子供、寅二郎とシドの順に視線を巡らせると、

 少し思案を始めた。


「……ふむ、旅人か。妙な身のこなしだが…まぁいい」

 そして、再びリラたちに顔を向け、


「この場は、

 帝国中央軍大将軍レオン・クラムハルトが預かる!

 否やは挟ません!」


「し、しかし将軍」

「黙れ!この場は俺が預かるといったはず。この場では何もなかった。子供には道路へ飛び出すなと説教だ。これで終い。わかったな」

 レオンの威厳と迫力に、憲兵隊たちはしぶしぶといった体で巡回に戻った。


「さて」レオンが視線を戻す。

「ありがとうございます」リラが子供と立ち上がり礼を言った。


「なに、俺がいる限り帝国内で騒ぎなど起こさせん、

 それだけの事。

 そういうことだ、わかったな」


 とレオンはリラたちの背後、追手の方を向いて言った。

「くれぐれもその子には飛び出しは危険だと教えておけ」

 と言い残しレオンは護衛だろう騎馬隊へと帰って行く。

「将軍!前線より急報。

 帝国第七師団、魔王軍との交戦中につき、指揮官の臨場を求むと!」

「……ふん、またか。いいだろう。すぐ発つ」


「おお!さすがレオン大将軍!帝国の守り神!」

「かっけぇ!」

「魔王軍もやっちまえ!」

 見ていた市民たちから喝采が上がる。


「け、大層人気者じゃねぇか」

「ああ、すごい人望だが、あの男実力もありそうだ」

 二人のそばではリラが、

「ホント、飛び出しは駄目よ!」

「ありがとう、お姉ちゃん」憲兵隊から守った子供を見送っていた。


「レオンの威光が効いているうちに先を急ぐとしようか」

 追手の気配を伺いながらも、三人は再び先を急ぐのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ