61/77
第一話 護衛はつらいよ⑦
リラが慌ただしく支度を進めている中、
ドルドが寅二郎に声をかけた。
「リラへの“贈り物”は全部持って行ってくれ、報酬の前払いだ」
「ありがたくもらっていくよ」
そんなやり取りの中、ようやく――
「おまたせ」
白のロングパンツに、フード付きの白いパーカー、
動きやすさ重視のリラが立っていた。
「何つうか」寅二郎が目を見張った。
白の上下ということもあるのだろうか、
リラの立ち姿には気品が感じられた。
しばらく呆けた表情で立っていた寅二郎に、
「準備完了だな。行くぞ」と、シドが言い、
三人は静かに《クレイジーラック》を出発したのだった。
娼館ですら明かりを落とすアムステルドの深夜、
月明かりだけが街並みを照らしている。
三人は運河沿いに先を急いでいた。
「やつら、追ってきているか?」
「ああ、しかし今すぐどうこうというわけではなさそうだ」
「で、私たちはどうするの?」
「帝都レギウスの大教会。
急いでマーリン大司祭に会いたいところだが、
なるべく移動は昼間にしよう」
「人目がある方が、安全ってわけか」
「分かったわ。二人に従う」
そして、三人はギルドへ経過報告ということにして、
併設された酒場で夜を明かしたのだった。




