第四話 勇者PTダンジョン制圧に行く⑤
洞窟を進んでいたはずがいきなり大広間へと景色が変わった。その中央には牛顔の巨大な魔物、それに対する王国騎士団とライネルの後姿。
巨大な牛顔魔物――ミノタウロス。
角は太く曲がり、筋肉は鎧のように硬い。
牙を剥き、斧を振り回して怒号を上げている。
「前衛、押されている!支援を急げ!」ライネルが指示を飛ばす。
騎士団は斬撃で攻撃を受け止めるが、次々に湧き出す魔物が斬られながらも立ち上がり、隊列を崩していく。
ミノタウロスが角を振り回し、地面を踏み鳴らすたびに砂埃が巻き上がり、仲間たちはよろめく。
「動きが速すぎる……!」アリアが叫び、雑魚魔物を素早く排除する。
ユキナは治癒魔法を連打し、倒れた仲間の傷を癒す。
エルザは鋭い目で周囲を見渡し、危険な攻撃を即座に仲間に知らせる。
アンナは前線に立ち、剣を握りしめる。
心臓が跳ね、恐怖と焦燥が胸を締め付ける。
(あの時、トラジロウが……)
過去に悪魔から救ってくれた背中が脳裏に浮かぶ。
(私も、みんなを守るんだ!)
決意が胸を突き抜ける瞬間、体から光が溢れ、剣が赤く燃え上がる。
「行くよ!」アンナが前に飛び出す。
ミノタウロスの斧が振り下ろされる。
ギリギリの間合いで剣を構え、跳び上がりながら斬撃を叩き込む。角が切り落とされ、背後にいた仲間たちも思わず息を呑む。
返す刀で胸部を一閃。
筋肉の防御も砕け、ミノタウロスは断末魔を上げて倒れた。
「よくやった。奥のあれがコアだろう。至急、制御班を呼んで来い!」
ライネルが伝令を呼び、アンナたちには撤退の指示を出した。
ダンジョンから一旦脱出し、外の夜空の下で深呼吸するアンナたち。
「初日の任務は無事に完了……かな」ユキナが安堵の声を漏らす。
「明日も続くけど、今日の戦いでいろいろ分かったはず」
と、エルザが冷静にまとめる。
「それよりも、今日の殊勲者はアンナよね!」リルルが飛び跳ね喜ぶ。
「そうだな、最後の一撃、見事だった」アリアが腕を組みながら同意した。
「一人飛び出す所は相変わらずだったけどね」ヤスコが茶化し、
「えへへ、そうだね」アンナは微笑む。しかし、心中では別のことを考えていた。
(少しはあの背中に近づけたかな?いつかは私もみんなを守れる力になりたい)
そして面々はギルドに戻り、戦果を報告しながら、ボス戦の詳細や魔物の挙動をメモに残す。チームは一日の疲れを共有しつつ、次回の攻略会議への準備を始めるのだった。




