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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第二章 砂漠の王国カルナード編
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第四話 勇者PTダンジョン制圧に行く⑤

 洞窟を進んでいたはずがいきなり大広間へと景色が変わった。その中央には牛顔の巨大な魔物、それに対する王国騎士団とライネルの後姿。


巨大な牛顔魔物――ミノタウロス。

 角は太く曲がり、筋肉は鎧のように硬い。

 牙を剥き、斧を振り回して怒号を上げている。


「前衛、押されている!支援を急げ!」ライネルが指示を飛ばす。

 騎士団は斬撃で攻撃を受け止めるが、次々に湧き出す魔物が斬られながらも立ち上がり、隊列を崩していく。


 ミノタウロスが角を振り回し、地面を踏み鳴らすたびに砂埃が巻き上がり、仲間たちはよろめく。

「動きが速すぎる……!」アリアが叫び、雑魚魔物を素早く排除する。

 ユキナは治癒魔法を連打し、倒れた仲間の傷を癒す。

 エルザは鋭い目で周囲を見渡し、危険な攻撃を即座に仲間に知らせる。


 アンナは前線に立ち、剣を握りしめる。

 心臓が跳ね、恐怖と焦燥が胸を締め付ける。

(あの時、トラジロウが……)

 過去に悪魔から救ってくれた背中が脳裏に浮かぶ。

(私も、みんなを守るんだ!)


 決意が胸を突き抜ける瞬間、体から光が溢れ、剣が赤く燃え上がる。


「行くよ!」アンナが前に飛び出す。


 ミノタウロスの斧が振り下ろされる。

 ギリギリの間合いで剣を構え、跳び上がりながら斬撃を叩き込む。角が切り落とされ、背後にいた仲間たちも思わず息を呑む。

 返す刀で胸部を一閃。

 筋肉の防御も砕け、ミノタウロスは断末魔を上げて倒れた。


「よくやった。奥のあれがコアだろう。至急、制御班を呼んで来い!」

 ライネルが伝令を呼び、アンナたちには撤退の指示を出した。


 ダンジョンから一旦脱出し、外の夜空の下で深呼吸するアンナたち。

「初日の任務は無事に完了……かな」ユキナが安堵の声を漏らす。

「明日も続くけど、今日の戦いでいろいろ分かったはず」

 と、エルザが冷静にまとめる。


「それよりも、今日の殊勲者はアンナよね!」リルルが飛び跳ね喜ぶ。

「そうだな、最後の一撃、見事だった」アリアが腕を組みながら同意した。

「一人飛び出す所は相変わらずだったけどね」ヤスコが茶化し、

「えへへ、そうだね」アンナは微笑む。しかし、心中では別のことを考えていた。


(少しはあの背中に近づけたかな?いつかは私もみんなを守れる力になりたい)


 そして面々はギルドに戻り、戦果を報告しながら、ボス戦の詳細や魔物の挙動をメモに残す。チームは一日の疲れを共有しつつ、次回の攻略会議への準備を始めるのだった。

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