第二話 一人はつらいよ②
「王様のやろう、なぁにが
『勇者殿、あなたには彼女たちのPTとは合わない様子。
ですがあなたにはあなたに合った最高のPTがいつの日かできることでしょう。
そしていつの日か魔王を打ち倒す彼女たちの力となってくれることとと信じております。
それではいつの日かまたお目にかかりましょう。ふぉっふぉっふぉ』」
「いつの日か何回言うんだ!全然信じてねぇじゃねぇか!」
子供のようにぷんすか肩をいからせながら寅二郎は城下町を歩いていた。
王様からは軍資金として金貨300枚、そして王国内を自由に出入りできる通行証を下賜された。
追放されたとはいえ好待遇ではないだろうか。
「成り行きとはいえ憧れていた異世界だ。金ももらったことだし魔王討伐、やってみっか」
と寅二郎は足取り軽く歩き出した、が、
「どうせならあいつらより先に討伐してやるかぁ~!みんな泣き顔にして乳もんでやるんだ!」
と酒場でガンガン酒を飲んでいた。
翌朝
「頭いてぇ」と起き上がった寅二郎は、見事に無一文になっていた。
現在の日本の貨幣価値で言うと金貨一枚一万円程、300万なら大金だ。
しかし一晩で消えて無くなった。
「やっぱりラノベとかの通りだったな、冒険者つうのか。男も女もあいつらおれのおごりだ!つったら馬鹿みてぇに飲みやがって」苦笑いしながらも嬉しそうな寅二郎に声がかかった。
「おはようございますトラジロウさん。お仕事、してみませんか?」
寅二郎が振り返ると、酒場の隣は銀行の窓口のようになっており、
ここは冒険者ギルド兼酒場であったようだ。
「昨夜はご活躍でしたね、トラジロウさん。ようこそ冒険者ギルドへ」
声をかけてくれた女性の前に立った。
「やぁもっこりちゃん。俺のベッドなら隣はいつでも空いてるよ」
「ほんとバカですよね。そんなことだから文無しになっちゃうんですよ?」
「はい、ごめんなさい」
前世でもいた訳でもないが、妹がいればこんな感じだろうかと寅二郎は姿勢を正した。
「こちらでは当冒険者ギルドに所属していただくことで、
会員の皆様にギルドからお仕事を斡旋させていただいております」
ふむふむ、どうやら寅二郎の思い描いたギルドのシステムとほぼ一致していた。会員証とS~Dのランク、大小さまざまな依頼。
「ではさっそく俺でも出来る討伐依頼があるならやってみようかな」
「すみません、残念ながら初心者であるDランクのトラジロウさんはPTを組んで頂かないと討伐依頼は受注できない決まりなんです。会員様の安全と依頼の成否に関わる問題ですのでご了承ください」
「じゃぁPTメンバー募集とかしてるとこあるかな?」
「あちらの掲示板に募集があったりするのですが…」
彼女の言う掲示板の方を向こうとすると、横から大きな笑い声が聞こえてきた。
「ギャハハ!やめときな。お前追放された変態勇者だろ?
国中の笑いものだぜ。誰もお前とPTなんか組みやしないぜ」
「そうなの?もっこりちゃん」
「私はもっこりちゃんでは無くマロンです。
じゃなくて、確かに寅二郎さんは今悪い意味で話題の人ですね」
「そうか、ならさっさと金貯めて、この国出たほうがよさそうだな」
「なぜそこまでPTというか討伐依頼にこだわるんです?」
「強くならなきゃ魔王なんて倒せないだろ?」
「ステータス0のくせにご立派なことで」
再びギルド内は爆笑に包まれた。しかし受付のマロン嬢は笑っていなかった。
「なんか俺でも出来る依頼、頼むわ」
「はい、それでは土木工事の補助作業なのですがお金はいいほうですよ」
寅二郎の異世界初クエストは道路工事に決まった。




