第一章 第二話 一人はつらいよ①
「それでは皆様にはこれから導きの儀式を受けていただきます」
マリアがそう告げると同時に、控えていた白ローブの一人が光る球を運んできた。
「これは《導きの宝珠》。
触れた者のマナを読み取り、数値として表示する道具です」
(おお……きた、ついにステータス鑑定!)
ラノベやゲーム好きの寅二郎は、ワクワクを抑えられなかった。
立ち上がりかけた瞬間、横から赤髪の少女に押しのけられる。
「どいて! あたしが先にやるわ」
どうやら、あのキツめの少女はアンナというらしい。
瞳に強い意志を感じさせる少女、神代アンナは、宝珠に手をかざした。
カミシロ・アンナ(18)/女/ヒューマン
Lv 1
HP:50 MP:50
力:100 素早さ:80 器用さ:40 賢さ:20
スキル:勇者
「おおっ! 勇者持ちだ!」
場がざわめいた。
続いて、青髪ロングの長身美女、三枝アリアが前へ。
まるでモデルのようなプロポーションだ。
サエグサ・アリア(18)/女/ヒューマン
Lv 1
HP:100 MP:20
力:120 素早さ:20 器用さ:35 賢さ:15
スキル:聖騎士の素養
三人目は金髪碧眼の美少女。
桐生リルルが「次は私ねっ!」と元気よく宝珠に触れた。
キリュウ・リルル(16)/女/ヒューマン
Lv 1
HP:100 MP:20
力:15 素早さ:20 器用さ:45 賢さ:180
スキル:魔導士の素養
(なるほど、魔法少女枠だな……)寅二郎は心の中でうなずいた。
四人目は黒髪に眼鏡、冷静沈着そうな雰囲気。まさに“秘書系美人”だ。
「この内容も詳しく解析してもらいたいですね」と言いながら、松風ヤスコが宝珠に触れた。
マツカゼ・ヤスコ(22)/女/ヒューマン
Lv 1
HP:100 MP:20
力:15 素早さ:20 器用さ:70 賢さ:90
スキル:トレジャーハンターの素養
そして五人目。小柄でおどおどした少女、汐宮ユキナが、両手を震わせながら宝珠に触れる。
シオミヤ・ユキナ(16)/女/ヒューマン
Lv 1
HP:100 MP:20
力:15 素早さ:20 器用さ:45 賢さ:180
スキル:聖女の素養
その瞬間――場が爆発した。
「まさか! 聖女様が……お二人目!?」
「奇跡だ! 今代は安泰だ!」
歓声の中、ユキナは顔を真っ青にして震えていた。
そんな彼女に、マリアがそっと寄り添う。
「安心してください、ユキナさん。
皆、喜んでいるだけです。私も……本当に嬉しいです」
「は、はい……」
「はいはいは~い!俺もやるよ、マリアちゃん!」
元気よく右手を挙げながら、そそくさと近寄り、寅二郎は宝珠に左手で触れた。
すると、玉の光が集約され少し頭上にディスプレイのようなウインドウが表示された。
サエキ・トラジロウ(25)/男/ヒューマン
Lv 1
HP:0 SP:0
力:0 素早さ:0 器用さ:0 賢さ:0
スキル:勇者
「おお!彼も勇者持ちか!しかしステータスがすべて0とは…」場が困惑している。
(へぇ勇者ってスキル扱いなんだな)と寅二郎は思った。
儀式が落ち着くと、マリアが解説を始めた。
どうやらこの数値は“素質の方向性”を示すだけで、努力や経験で伸びるらしい。
スキルは世界の加護で、後から習得はできないという。
「なるほどなるほど、それならこの結果だと俺とアンナとアリアで前衛。
ヤスコを中衛にしてリルルとユキナが後衛でばっちり最強PTの誕生ってわけだな。
よおーしもっこりちゃん達!一緒に魔王をぶっ倒そうぜ!」
「馬鹿」アンナがため息交じりに言うと、寅二郎は全身鎧に両脇を抱えられてしまった。
「あんたみたいなのと一緒にやれるわけないじゃない、この変態!」
「へ?」
「ずーっとあんたどこ見てんのよ!いやらしい」
確かに寅二郎は彼女たちの胸をロックオンしッぱなしだ。
「前の世界なら速攻セクハラで訴えてるところよ!」
「大丈夫!」
「何がよ?」
「確かにこのメンツだとアンナちゃんのおっぱいは見劣りするかもしれないが、
アンナちゃんはまだ18、希望を捨てちゃ駄目だ!」
「こんのぉ!ド変態がぁ」勇者のビンタが寅二郎の頬にクリティカルヒット!
両脇を抱えられていたはずが錐もみ状態で吹っ飛んでいった。
「とにかくあんたには王様から話があるそうだからさようなら。
クビにでもされるんじゃないの?いい気味だわ、
魔王は私たちが倒してあげるから感謝しなさいよね」
肩を震わせながらアンナが言った。
そして、先ほどの全身鎧二人がボロ雑巾と化した寅次郎を王様のもとへ引きずって行った。
そして寅二郎は…
追放されました。




