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第一話 暑くてつらいよ①
砂と熱風が吹きすさぶ大地。
そこに築かれた異国の王国――カルナード。
香辛料の香り、賑やかな音楽、そして露出度高めな衣装の踊り子たち。
「うおおおお! 天国だここ!!」
「落ち着け!トラジロウ!」
「見ろよあの腰の動き……あれはもう芸術だ……!」
市場の真ん中でシドがため息をつく。
彼女はフードで顔を隠していたが、内心少し楽しそうでもある。
そのとき、舞台の上に現れた一人の踊り子に、寅二郎の目が釘付けになった。
褐色の肌。黄金の瞳。
そして、砂漠の太陽にも負けない――圧倒的もっこり。
「……もっこり神、いた……」
「黙ってろ」
「おお!リーネだ。最高!」
「あんたにどこまでもついていくぜ!」
喝采を浴びる中、人々を魅了する舞を見せながらも、
彼女の瞳にはどこか影があった――。




