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第一章 第七話 ゴブリン退治はつらいよ①

 乗合馬車が止まった。この町で荷物や人を積み替えて別の町へ行くようだ。二人も馬車を降りて、体をほぐした。


「カルナード直通馬車とか貸し切れなかったのかよ」

「馬鹿!金もねぇ癖によくそんなことが言えるな」

「へぇへぇ、そりゃ悪ぅございました」

「大体、ベルゼ撃退の報償金も受け取らず、

 毎晩のように酒場でどんちゃん騒ぎしやがって……」

 シドの小言が聞こえないふりをして、寅二郎は歩き出した。


 そこへ二人の後ろから声がかかった。

「あの、冒険者さんですか?」

 二人が振り向くと、必死の表情の少女とその保護者だろうか、痩せた男が立っていた。


「お願いがあるんです」

「悪いなお嬢ちゃん。10年、いや5年早かったな。俺はもっこりちゃんの依頼しか…」

「おい」

「お姉ちゃんを助けて下さい!」


 寅二郎の耳がピクリと反応し、二人は話を聞くことにした。

「私はりりィって言います。この人はマークさん。私の姉はマリィです。最近この町の近くでゴブリンが目撃されたらしいんですが、昨晩からお姉ちゃんの姿が見えないんです。今朝から二人で探し回ったのですが、見つかったのはお姉ちゃんの着ていた服の切れ端だけ。しかも町はずれの洞窟へ向かう道なんです!」

「ああ、マリィ無事なのか」

「それでちょうどギルドへ向かう途中だったのですがそのぅ」

 言いよどむりりィにシドが続きを促す。


「どうした?」

「それがその、この町は町とは言っても小さくて、ギルドにも引退間際のようなおじいちゃん冒険者さんしかいなくて心配なんです」

「ふむ、ゴブリンの噂があってもすぐには動けない程なんだな」

「それでお二人をお見掛けして、つい」

 ゴブリン、それは小鬼族とも言われ、単体では臆病で弱く、普通の大人でも対処可能なレベル。だが、群れると途端に家畜や人間を襲うほど狂暴になる。


「時間との勝負だな」

 そういうシドを押し退け屈みこむとりりィに視線を合わせて寅二郎は言った。


「お姉さんはもっこりちゃんなんだな?」


「へ?」

「この馬鹿」シドに足を蹴られながら寅二郎はなおも言った。

「もっこりちゃんなんだろ?そうなんだな?」

「はい、お姉ちゃんはこの町一番の美人だと言われていて……」

 りりィが言いきらないうちに、

「行くぞ!案内しろ!」寅二郎は走り出した!


「行くのはいいけど、何だかなぁ」

 シドは呆れつつも、4人でゴブリンがいるという洞窟へと向かうのだった。

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