第六話 急襲はつらいよ②
その頃、王都中央訓練場では――
アンナ率いる“正式勇者PT”が模擬戦を行っていた。
マリアと数名の神官が見守る中、勇者たちは順調に力をつけていた。
だが。
黒い風が、唐突に吹いた。
訓練場の空が歪み、裂ける。
「な、なんだ!?」
「空が……!?」
裂け目の中から、赤黒い光を纏う翼を持つ男が現れた。
真紅の双翼、額に刻まれた紋章。狂気の笑み。
「ヒャハハ……愉しいねぇ、人間の“勇者ごっこ”ってやつは!」
「あ、あんた何よ!」アンナが剣を構える。
「名乗ってやろう。俺は――《破壊者》ベルゼ。
魔王軍三魔将が一人。強き者を喰らう、それが生きがいでねぇ」
「っ!」
瞬間、ベルゼが飛翔。
音もなくアンナたちの中央に着弾した。
爆風と炎が吹き荒れ、悲鳴が上がる。
――王都の防御結界の要、そこでは王国騎士団団長が唇を噛んでいた。
「くっ。数からみてもおそらく精鋭部隊。
それでも魔王軍の接近をここまで許すとは」
魔王軍とぶつかる王国騎士団の面々から振り返り、騎士団長が黒煙を睨む。
「くそ……三魔将だと!?防御結界を抜かれた!」
リ・エスティーネ王国王都エスティアは戦場と化していた。
王都・郊外――
「……なぁシド、今、空が光らなかったか?」
「っ!?」
シドの表情が一変した。
マントの下から小さな通信石を取り出す。
「こちらシド、王都訓練場が……ええ、確認しました。すぐに向かいます」
「な、なんだよ今の!?」
「悪い、行くぞトラジロウ!」




