episode62 千年前のこの地にて その一
少し昔話をしよう、『始まりの聖人』と呼ばれた人間の物語を
だいたい…そう、ちょうど千年前、まだ太陽神と流星神を信仰する人間が分かれていなかった時、この世界は真に弱肉強食というにふさわしい地獄だった、龍が空を、地上を古代森人が支配しそのほかの種族は小さく、か弱い存在だった
まぁそんなか弱い存在でも特にか弱い只人は必死に生きていたと思う、けど特権階級による支配、不作続きの飢餓、生き残るための戦争、そして簡単に訪れる死
昔は魔法全盛で魔術が今ほど発展していなかったし、新大陸の西みたいな技術力もなかった、けど街並みは今と変わらない部分はあったかな?
そういえば戦争、支配は大体の人間に訪れたけど飢餓とそれによる死が訪れたのは農村部の人間だけだっかもしれない、けど簡単に死んでたよ?冬を越せない人間が半分くらい居た、今じゃ考えられないよね?
そんな時に現れたのがのちに始まりの聖人と呼ばれる青年だね
太陽神の寵愛を一身に受けた所謂神子と呼ばれ崇められる存在だ、けどもらった力を使ったことはなかったかも、だからどんな能力を持っていたのかは今の人間、ましてや彼の友人でも知らないと思う
けどね、彼はただの人間にしてはすごい人間だった、彼がいなかったら人類は数百年ほど発展が遅れてたと思うよ、彼のおかげで命を救われた人間は本当に数えられないほどいる
え?何をしたって?……そりゃあれさ、治癒魔術で金儲けするのを禁じたんだ
昔はひどかったよ?だって少しタチの悪い風邪を治すだけで家が建つくらいの金がかかる、怪我もそうだ
だからほとんどの人間が治療を受けられなかった、あいつらは神じゃなくて金を信じてたんだ
けど今じゃそんなことないだろ?感謝のお布施はしないといけないけど、こちらが値段を決めれる、彼のおかげさ
うん?どうやってそんなことを成し得たのかって?、まぁ彼が神子だったのが大きかったと思うよ、もう一つは彼には友人がいたんだ、傭兵を名乗ってたな、確か鬼子とか死神とか呼ばれてた気がする、なんでそんな曖昧なんだって?そりゃ当時はあんまり興味がなかったからね、今になって思うけどやっぱりちゃんと覚えておいた方が良かった
偽善者ぶる彼を暗殺しようとする人間もたくさんいた、けど傭兵が怖かった、ばれたら本当に国が滅ぶからだ、彼が表舞台から姿を消してからでも誰も金儲けなんてしなかったのは傭兵が怖かったからだ、傭兵が死んだ後でももしかしたら呪い殺されるかもと、地獄から生き返って殺しにくるかもと信じられていたんだ
けど傭兵がいなくてもどうにかして彼は目的を果たしていたと思うよ、あの男はそういう男だ
………話の続きは今度にしよう、一気に全部話すのは気が乗らないからね




