表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍と魔法がありふれたこの地にて  作者: クラムボン美少女概念
黒の権能と死神
60/74

episode59 竜剣ミリー

アセトの街でトップの冒険者は?

そんな質問がされれば三つのBランクパーティーのリーダーの名前が挙げられる

竜剣、瀑布、一刀

なら最強の冒険者は?

状況次第で誰が一番強いかコロコロ変わる、一番を決めることはできないだろう


なら状況を決めよう最も頑強なのは?

竜剣だ

最も力が強いのは?

竜剣だ

最も破壊力が高いのは?

竜剣だ


彼の一振りは海を割り雲を裂く、彼の肉体はナイフを通さない、人は皆彼を優れた戦士と認めている





「ヘケッ、随分軽い攻撃をするのですね?」


キューベルが片手でミリーの大剣を止めながら小馬鹿にする、しかしその余裕に満ちた顔が動揺を挟んでから焦りに変わる


(……ッ!?急に剣が重く…!)


「気づいたか?竜剣ギュリクっていうんだよ、魔剣の一種だ」


ミリーの持つ竜剣ギュリクが炎を纏い姿を変える、そしてそれと比例するようにキューベルの顔が苦痛に歪んでいく


(…完全権限ができるのか!いやそれよりも注目すべきはその魔剣に刻まれた能力…!おそらく重力操作、国宝級の魔剣がなぜここに…!!)



魔剣には特殊な能力が備わっている、しかしその力を十二分に引き出すには使い手の実力と相性が必要になってくる、そして完全に引き出せた能力は魔法となり完全権限前とは比べ物にならないほどの力を発揮することが可能になる



「ふんッ!!」


ミリーの真下の地面が沈む、キューベルの体がどんどんくの字に曲がっていく

しかしキューベルが潰れる寸前体を横に捻り自分の右手を諦めることでミリーの一撃から逃れた


「まだまだ!!」


再生する時間を与えまいとミリーが畳み掛ける

重量はそのまま破壊力に直結する、ミリーが剣を振るだけで風が巻き起こり風切り音が響く、キューベルが避けきれずに体に掠った部分がまるで消えたかのように抉られる



「ヘケッ、あまり舐めないでいただきたいですね」

「ッ!?」



足でミリーの影を踏む、それだけの仕草だった

ミリーに気味の悪い汗が流れる、およそ瞬きにも見たない一瞬、しかしその一瞬が戦局を大きく動かした


「––ッ!?」


(あ、足に力が……)


足に力が入らずミリーが膝をつく、視界がブラックアウトし呼吸が荒くなる

心臓の鼓動が鮮明に聞こえる、体が緊急信号をあげている

そしてそんなミリーを見下ろしながらキューベルが笑う


「貴方たちが対策していた影を操り対象と全く同じ複製体を作るのが黒の権能の魔法です、しかしこちらは私の自前の能力、影を踏んだ相手を衰弱させれます、他にも病気や負の感情を植え付けることも可能ですよ?しかし惜しいことをしましたね、あと一瞬でも離れるのが遅くなっていたら貴方は干からびて死ねたのに」


「……せ、聖職者の、真逆…、みたい、力だな……」


少しでも口を動かして時間を稼ごうとする

あと少しでも息が整えば、あと少しでも回復すればまだ戦える、その一心で必死に気を逸らそうとする


「どう殺して欲しいですか?」

「どうって、そりゃ悩殺だな、そしたらてんご––うぐっ!」


ミリーの言葉を遮りキューベルが首を握り絞め上げる


「貴方と眼帯の青年の死体をあの女に祝福を受けた男の目の前で犬に食わしてあげます、楽しみですねぇ?苦痛と自分の無力を嘆き喘ぐやつの顔が」


骨が軋む音が聞こえキューベルの顔が愉悦に歪む

完全に骨が折れた音が響く

すでに肉塊となったそれから手を離そうとした瞬間、キューベルが自分の間違いに気づいた


「…なッ!?」


ミリーの首は折れておらず目にはむしろ熱が宿っていたのだ


「捕まえた…!」


ミリーがキューベルの腕を掴んだ手にさらに力を入れる

折れた骨がひしゃげて骨の一部が肉を突き破る、そして決して離さないようにどんどんと自分の方にキューベルの体を引き寄せていく

そしてその手が首に届く


「殺しても生き返るなら殺し続けてやる…!」


骨の砕ける音と共にキューベルの首がひしゃげる、目が血走り体が震える

必死に首を絞めるミリーの手を剥がそうと腕を掴む、爪が刺さり血が出る、しかしミリーはそんなことを気にせず首を締め続ける


首を絞め始めだいたい二分程度、ミリーにとっては一瞬にも、数時間にも感じる時間が過ぎようやくミリーの腕を掴む手が離され、重力に従い肩からぶら下がっている重りとなった


(賭けだったが復活にも条件があるのか…!今なら封印石を…)


ミリーが懐に入れた封印石を取り出そうと片手を首から離す、そして震える手で二つある封印石のうち一つを手にする

しかし魔力を込めようとした瞬間、キューベルの影が動いたのを目にした


(––魔導士の複製体…!?いや違うこれは…)


キューベルが万が一の時に備えていた奥の手

それは赤龍騎士団二番対隊長ロビンの複製体、ミリーとルカの複製体は本人の影からしか出てこないという固定概念を利用するためあらかじめ召喚した複製体を自分の影に隠していたのだ

ロビンの高速の突きがミリーの心の臓を穿とうと空を駆ける


(やば…い)


キューベルの衰弱は常人であれば一瞬影に触れられただけで命を落とすレベルのものなのだ、彼を今動かしているのはただの意地、彼にはすでに戦う気力などとうに残ってはいない

そんな彼にできたのは体を捻り後ろに倒すことだけだった


追記 

ミリーの魔剣、『竜剣ギュリク』の能力が影響するのはミリーと剣だけです、それと身体能力が大きく向上します


ルカの魔剣『春歌』の能力は簡単に言ったらフレンドリーファイヤのない刃こぼれのしない刀だと思ってください、実力相応のものは斬れ、実力以上のものは斬れない、斬りたくないと思えば切れないって感じです、ちなみに身体能力向上は全ての魔剣についているわけではなく国宝級のものだけです


一刀はルカの二つ名、ルカの初めての二つ名だったけど知っている人は知ってる程度だった、今でも知っている人は知っているしルカのことをそう呼ぶ人も普通にいる、ルカもシンプルで気に入っていた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ