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龍と魔法がありふれたこの地にて  作者: クラムボン美少女概念
黒の権能と死神
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episode55

封印石

高価な魔道具といえばであげられるほどのものであり拳一つ分ほどの大きさものであれば城が一つ建てることも可能である


もちろん高価な理由は材料費の高さもある

金、魔銀結晶、霊雫に加えて価値の高い素材がいくつも必要になる

しかし最も大きな理由は作成できる術者の数の少なさである




「アンズ、この錬成陣をそのままこっちに移して」

「うえ〜…、これまた芸術的な錬成陣なこと」


嫌味を垂れつつも指示に従ってサポートしてくれるアンズ

机の上には必要なものしか置いていないはずなのにすでにごった返している状態になっている、到底僕一人じゃ整理できない量のためアンズの存在は非常に助かっている


世間一般的に封印石は非常に作成難易度の高い魔道具と言われてはいるが実のところ魔術と錬金術ををそこそこ理解していたら理論上は誰でも作成できる魔道具なのだ

理論上は


「よくやるわね、私は脳みそが四つあってもできないわ」

「まぁアンズの脳みそが四つあってもって感じだけど…」

「うるさいわね〜!」


封印石を作成するのに必要なのは技術ではない、計算力だ

一瞬を争う技術も、室温や湿度レベルでの調整も一切必要ない、物理演算と情報処理能力を向上させる『演算』を七重まで展開できる頭のスペックだけが必要なのである

つまり多重演算を七重に展開できるなら一般人でも作れるってことだ




「『多重演算』––起動」


ルカの周囲に七つの術式が浮かぶ

『演算』、簡単にいえば腕が一本増えて一度にできることが一つ増える魔術

しかしどれだけ腕が増えても指示を出し情報を整理する脳は一つ、それが七つも転換されたと言うことはルカの脳にかかる負荷は計り知れないものとなる



「第一錬成陣、起動––第二、第三、起動」



金、魔銀結晶、霊雫の三つの錬成陣が光を放つ



「––連結」



錬成陣の上に置かれた三つの素材が宙に浮かび三つの錬成陣のちょうど真ん中で霊雫を中心に回り始めた



「軌道に乗ったことを確認、––粉末化、合成、冷却、固形化を開始」



四大元素の初級魔術を使って錬金術だけじゃ補きれない部分の調整をしていく。ここで展開する魔術は一番多いタイミングで十五個、もちろん錬成陣を維持しつつである



(こことあっちの術式を連結させて…、––ッ!?ミスってるな…、やっぱり術式刻むのはキツいな…)



僕の本職は剣士だ、魔術師でも錬金術師でも、ましてや家政婦でもない

魔術も錬金術も趣味の範囲を超えないのだ、回数をこなしているわけじゃない

当然粗が目立つ、魔道具作成用の魔術式なんて刻んだ回数も少ないから当然だ



「第三術式部分完結……」

「–––第三術式下部一番の二ミスってる、それだと第一術式中部右側三番を邪魔してるわ」

「了解、修正する」



僕がミスって、そのまま見逃していた術式をアンズが見つけて教えてくれる

封印石自体の作りは難しくない、アンズレベルの魔術師だとこの程度の術式なら簡単に理解できる



(…懐かしいな)



前作った時はロララと作ったのだ

魔術の杖の装飾に封印石を使いたいと言い出したロララに僕が付き合わされた形だ

ロララはギリギリ演算を六重までしか展開できずに結局僕がロララの指示を聞きながら作ったのだ、3日くらいかけて



「空色に発光したのを確認、……疲れたぁ〜…」


完成を知らせる発光を確認して一息つく

目の前に浮いている大体アクセサリーとかに使われる宝石程度の大きさの封印石、これを売って生計を立てれると考える人もいるがそんなに甘い世界ではない

そもそも封印石の需要はそこまで高くない、封印するよりも討伐した方が早いからだ、そして古龍のような討伐が難しい相手は大抵巨大だ、この程度の大きさの封印石は使えない、つまり価値は確かに高いのだが売れない、それが結論になる


宝石としての価値もあるのだがこの程度の大きさのものを宝石として売り出すのならせいぜい50万リリー程度、手間や時間、材料費を考えたら依頼を一つ受けた方が数倍稼げる


「あと四個だっけ?」

「できるだけ細切れにしてから封印したいからね、けど僕の実力だと後一個が限界かな、それ以上だと戦闘面で影響が出る」


もうすでにベットの上に寝転んで休みたいくらいにはやる気がない

しかし万全を期して行きたいため気合いで2個目を作った、それ以上はもう作らない、ミリーには封印石二つで頑張ってもらうことにした

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