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龍と魔法がありふれたこの地にて  作者: クラムボン美少女概念
黒の権能と死神
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episode54

レオが帝国行きの準備をしている間に僕は王立図書館で調べ物をしていた


(不老不死である不死族……ではないんだろうな、そもそも絶対数が少ない上にそもそもの身体能力が高いはず、魔導士も高かったけど話に聞く不死族ほどじゃないだろうし…)


机の上には神話から英雄譚、種族図鑑など数多くの資料が置かれている

これらは全てあの魔導士の男への対策である


「結局封印がポピュラーかな、討伐事例はほとんどない上にそのどれもが難しいしな…」


英雄譚を信じるなら不老不死の化け物は神剣や精霊神リリーやエリスの祝福がない限り討伐ができない。リリー教とエリス教が別れる前、信徒に治癒魔術の無償化を義務付けさせて利益目的での行使は呪い殺すと残した『始まりの聖人』レベルの高潔さと信仰心を持った信徒じゃないと不老不死殺しは無理だろう


「『死者蘇生』や『輪廻の導き』まで使えたらしいしな…、いや化け物か?」


神話にしか出てこないであろう魔術を史実で使えた人間に一周回って引きつつも現実的な案を考える


「やっぱり封印か、四肢を切り落として五等分して別々の封印石で封印、誰にも封印が解けないように海に沈めるのがベストかな」


もしこの作戦を実行するなら封印石の材料で大体1億リリー、錬成陣の作成で大体3日、微妙にいけないこともないラインなのがいやらしい

しかし問題が一つある


(あの魔導士…本気じゃなかったんだよな〜)


相手の実力というものは審美眼から大体わかる、その上で断言すると本気を出された時点で僕だと十回戦って一回だけ相打ち、それ以外は負ける

不死の相手には引き分けも負けなのだから完敗だ、この前は舐めプのおかげで逃げられたと言っても過言ではない


「正直掴まれた時点で死ねるんだよな〜、腕とか掴まれたら逃げ出せる気がしない…」


魔導士と相対した時のことを思い出す

速さはギリギリ僕が勝っているから戦えたけどあの魔導士の男は僕の首をまるで赤子の手をひねるように折れるハズだ


「やっぱミリーだな、状況さえ揃えばミリーが負けるはずないし」


結論が出たので本を本棚にしまう

外に出るとミリーが近くのベンチに座り込んで待っていた、いや正確には一人で待っているのではなく全く見たことない女性と仲良さそうに喋っている

多分ナンパしたんだろう、ミリーがいつもの外向けの対応をしている


(そりゃミリーは確かに美丈夫だしさぁ?嬉しいのはわかるけど…なんで僕はモテないんだろうか…、ミリーには流石に負けるけど良い物件のはずなんだけど…)


ガラスに映った自分を少し眺める、どこからどう見ても格好いいはずだ

長く伸ばした手入れの行き届いた銀髪、眼帯という目立つ要素に加えて遊び心の小さなリボン、そして貴族の血を引いているが故の整った顔立ち

そしてお金もしっかり稼いでる上に家事もできる、なぜモテないのかわからないレベルの好物件のはずだ、僕が女だったら真っ先に選ぶ


「でさ〜、こうやってやると良いんだよ」

「へぇ〜、やっぱり料理って力仕事なんだな」

「いや、コツさえ掴めれば私でもできるくらいだよ、確かに重労働だけど…」


「ミリー…、僕を待っているのかその子と話しているのかどっちだ?」


かなり会話に花を咲かしていて声をかけるのが億劫になりつつも声をかける


「き゛ゃ゛ぁ゛っ゛!?」

「うん?終わったか、じゃあな、またあったら飯でも行こう」


そう言ってミリーは渾身の作った笑顔を女性に放ってから立ち上がる

喋っていた女性が驚いた顔でミリーのことを見ている、今の今まで仲良く喋っていた相手が一瞬で別れを告げて歩き出したのだ

僕もなんなんだこいつ…みたいな顔で隣をぬけぬけと歩くミリーを見る


「…二重人格者か?」

「…?」


僕が何を言っているかわからないってことは多分常習犯なのだろう

やっぱりなんでこんなのがモテるのかわからないかもしれない、こういう性格の方が女受けが良いのだろうか


「で、どうだった?」

「封印石の出番かな、多分封印した部分は再生しないと思うし、…不死のカラクリは結局わからないかったな、まぁ原因がわからなくても対処はできるけど」


風が吹く理屈はわからなくても人は風を利用して海を渡った、病気になる理屈はわからなくても体を冷やして眠れば良いことを知っていた

つまり不死の理屈はさほど重要な要素ではない、


「勝てる?」

「条件さえ揃えば」


僕が問いかけるとミリーが即答した、確かな自信を持った言葉

僕が予想していた言葉が返ってきた


「一対一で十分な広さを持った何もない場所なら半々で勝てる」

「頭に瓦礫がぶつからなかったらってのも入れて置きなよ」

「黙っとけ」


5割勝てるは絶対勝てるよりも信用のできる数字だ

僕らは軽口を叩き合いながら街を歩いた

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