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龍と魔法がありふれたこの地にて  作者: クラムボン美少女概念
黒の権能と死神
52/74

episode52

速まる心臓の鼓動を深く息を吸って抑える


(落ち着け…、確かに斬れた、斬れるのは確かだ)


動揺、恐怖、焦り、全て剣を鈍らせる錆でしかない

確かに殺した、確実に首を貫き頭蓋を切り裂いた、そして焼いて灰にした

けれど理屈はわからないが今殺したはずの相手が今生きているのだ


無理に理解しようとしなくていい、ただ殺しても死なない相手だと認識すればいい


「名前は呼ぶな、お前は自分の影を相手をしろ、蜻蛉だ」

「了解」


もし影が本人と全く同じ実力なのであれば確実に怪我をしているミリーが負ける、それだけは避けたい


「依頼主は馬車で待機、魔術師はその護衛で男どもは赤髪の援護を」


指示を全体に出したと同時にルカが駆ける

そしてそれと同時に魔導士の首が落ちる


「おっとっと、首を斬られる殺され方は生きてて二度目です」


(ハズレ)


また何事もなかったかのうように頭を拾い首とくっつける魔導士

一度だけ切っても死なない相手と戦ったことがある、土傀儡(ゴーレム)だ、土傀儡は体内のコアと呼ばれる魔力源を壊さない限り腕を切ろうが首を落とそうが心臓部を貫こうが死ぬことはなかった

つまり体内のコアさえ破壊すればこの男も死ぬ可能性がある


しかし幾度となく切り刻み続けたがコアらしきものは無く、毎回肉を切る感触と共にちが吹き出るだけだった


「そろそろ飽きましたね」

「僕も飽きたよ」


三十五回、ルカが魔導士を殺した数だ

コアは無く体力の続く限り回復するという仕掛けでもなさそうという結論に行き着く


「ここで一ついいことを、私は魔法なんて使わずとも強いですよ?」

「––ッ!?」


魔導士の男の貫手がルカの脇腹を掠める

咄嗟に刀で受け流したため致命傷には至らなかったがおそらく一瞬遅れていたら腹を貫かれて即死だった


「さぁどうします?」

「あまり調子に乗らないでくれる?不意打ち気味に僕の腹を掠めただけなのにそこまで嬉しかったの?」


そう言いルカが春歌を鞘に戻し居合の構えをとる


「刻円の術理」


直後魔導士の胴が分たれた、そして両手両足が吹き飛び、それら全てにナイフが投げられ魔術で固定された


「今だ!」


そう言いルカ、いやルカ達全員が馬車に乗り込んだ

そして御者台で待機していたアンズが馬を走らせる

ルカがミリーに告げた蜻蛉、作戦名の一つで蜻蛉帰り来たそれは撤退を意味する


ルカは今の戦いでいくつかのルールがあることに気づいた

四肢が切り落とされた時はくっつけないといけない、灰になった際は時間がかかるが再生する

距離が空きすぎるとおそらく自分の意思でくっつける、もしくは再生に切り替えれる

そして損傷が激しい方が再生に時間がかかる


ルカは最初に殺したのはずなのに死ななかった時から撤退を前提に戦闘を進めていたのだ、もし殺せたらラッキー程度と開き直って


「影を利用した術ってことは正午を過ぎた時点から深夜にかけて脅威が増す、これ以上はやってられないな、しばらくお互いに名前を呼ぶのは無しにして容姿の特徴で呼ぼう」


全員にそう声をかけてから先の魔導士について考える

僕だったらまずあの魔法を使って自分の分身を召喚する、それから部下の分身もだ

なのにそれをせずにミリーの分身だけってことはできないのかはたまた…


「ル…眼帯、何かわかったことはあるか?」


ミリーが背中の傷を治療してもらいながら尋ねてきた


「身体能力が化け物だ、速さは僕がギリギリ反応できるレベル、まず剣士以外が相手した時点で一方的に惨殺されるな、不死だから防御という考えはないからまず負けないけど体力勝負や名前がバレたら余裕で負ける、あと魔法の方はまだ本気じゃないはず、名前が発動条件なら自分の分身を作れるはずだ、なのに作っていない」


「作れないって線は?」

「作れないって線は追わなくていい、それだと魔法なのに自由度が低すぎる、多分条件が変わるのかただの舐めプ」


自分の分身を作らないのは…、おそらく条件が深夜だけ、自分の名前が相手に知られた時、もしかしたらすでに僕が戦った魔導士が分身という可能性、ここらへんが妥当な理由だと思う、普通に舐めプか

そしてだ、最も恐ろしい可能性は分身は本人と全く同じスペックなら魔術や剣術も本人と同程度使えるのだろう、なら魔法も例外じゃない可能性がある

もし魔法が使える分身が作れるのなら数でのゴリ押しという最強の戦術が一人で可能になってしまう


「名前を知られたら自分と戦うことになる、その時点で勝敗が運に左右される上に運よく勝ったとしてもあの魔導士と戦うことになる、それさえ気をつければいい」


話し合う彼らを見てレオは驚いた

殺しても死なない化け物を相手した上でその化け物と戦う方法をすぐさま考え始めたことにだ

自分はあんなのが殺しに来るのなら逃げられないと思った、今でも自分の影が急に動き出さないか怖くてしょうがない

けれど目の前でルカとミリーはすでに次戦う時のことを考えているのだ


(……私も剣を嗜んでいるが…これが才能というやつか)


思考を放棄した者(自分)俗に戦士と呼ばれる者(目の前の二人)

ルカが言っていた強さの種類、恵まれた体躯や圧倒的なセンスなどでは無く誰にでもできる、けど全員はできないこの差の事を指していたのだろう


改めて実感したのだ、自分はきっと戦士には向いていないのだろうと

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