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龍と魔法がありふれたこの地にて  作者: クラムボンのおにぃちゃぁん
青年期2
36/49

episode36 最後の団欒

ミスチーが普段行かないような雑貨屋に行った、小さな髪飾りを買ってきていた

かくいう僕も何かないものかと思い色々考えた末に懐中時計を買ってきた、もちろん贈り物用の包装をしてもらった、それと解体用のナイフ


それと食材を多く買ってきた、子供が考えそうな食卓を作るための材料、調味料や加工品も複数種類買ってきたため食費だけで合計4万リリー近くかかった


なぜかと言うと今日で『流星闊歩アバンギャルド』が解散だからだ、ロララは家に一度戻ってから学院に通うことが決定した、まぁ当然だ、貴族の子女が家出したまま冒険者を続けれるわけがない

ミスチーはアセトに元々三ヶ月程度の滞在を予定していた、少し居心地が良かったから滞在期間を伸ばしていたがそろそろ放浪の旅を再開すると相談を受けていた、そして今回の件がきっかけになったらしい、きっとこの半年の出来事は忘れないと面と向かって言われたのは少し嬉しかった


僕は情けないことに特段予定はない、旅に出る予定もないし、学院に通う予定もない、面倒だが一度実家に帰っても良いのかもしれない


「え〜と、僕らの新たなる門出に乾杯」

「「乾杯!!」」


虹香鳥の丸焼きとピラフ、ホウレンマグロの唐揚げに刺身、アルト牛のクリームシチュー、祝福を意味するリンド酒で蒸した魚介の酒蒸し、黄金林檎の蜂蜜漬けにミミイチゴのクリーム添え、自分で言うのもなんだか豪華な机の上に対して少しガラッとしたリビング、風通りの良い戸の空いたロララの自室

何か少し複雑な感情を感じる気がする


「やっぱり学院に行ったら私は人気者になってしまうでしょう、だって15歳にしてすでにBランクの二つ名持ちの魔術師でありながら玉炎竜討伐の立役者ですもの!」


「あの時はあんまり盗賊が活躍する機会がなかったからな、私は絵を描いたぞ、リリ夫人に一枚、中央大陸の商人に一枚、こっちの商人に一枚それぞれ売れた」


「そういえばルカ、お母さんがクララ家で騎士にならないかと誘っていました、あんな誠実な子は見た事ないって、まぁ実際はえっちな店通いの情けない男ですけど」


「僕、母の実家の方でもそういう話があるんだよなぁ〜、養子にならないか?って、18までに答えを出してくれって言われているんだよ、それとあの店はえっちじゃない、女の子とお酒を飲むだけの健全なお店だ」


「ルカ…、それを不純というのだよ、まぁ男というものはそういった人種だ、溜め込むほうが体に悪い」



初めて虹香鳥を食べたがやっぱり美味しい、ピラフも鳥の油を吸っていて味がしっかりついていて非常に美味だ

鳥を買った店の店主に教えてもらった調理法に間違いはなかったらしい



「お父さんには会いたくないです、ウザいんですよね、けどミミには早く会いたいですね、私の可愛い妹です、いっぱい私の武勇伝を聞かしてあげるのです、その時はちょっぴりだけルカも出してあげます」


「妹か…、僕は一人っ子だからそう言うのに憧れるな」


「そんなに良いモノじゃないぞ、私にも弟がいるが可愛げのないやつだ、何度言ってもご飯を食べている最中に風上で歯磨きをするぞ、流石の私でもつい暴言が出てしまうレベルだ」


「…僕の父もそんな感じだ、休日は裸で庭を眺めている、……やっぱりいらないかも」


「けど歳の離れた弟か妹はいいと思うぞ」


「そう?」


「いや、適当を言った」



しかしミミか、ロロとリリ、ロララの名前の付け方の法則はリリ夫人から来ているらしい、僕の名前は父似だろうか



「お前チビだからいじめられるんじゃないの?身体的特徴で群れからハブられる動物ってのも珍しくないんだよ?」


「ふん!なんとでも言うが良いのです、私が主席で卒業してお金持ちになったらルカのことは料理人として雇ってあげても良いですよ、その時はミスチーも庭師か何かで一緒に」


「はは、それはありがたいな、気が向いたら雇ってもらおう、その時は絵描きとして頼むよ」



僕は騎士ではなく料理人として雇われるらしい、貴族の口にも僕の料理はお金を払うほどの価値があるらしい、家出するような貴族様だが



「貴族ってあれなの?すでに婚約者がいるの?」


「いえ、なぜか私に婚約を申し込む人は少ないんです、やっぱり高貴すぎると自分の浅ましさが浮き彫りになるからでしょうか?」


「くふっ!!……すまない、続けてくれ」



笑い声が漏れるミスチー、顔を若干隠してマジかこいつみたいな顔を僕に見せてくる、僕も高貴?と引っかかったがきっと彼女がそう思うならそうなのだろう



「これ、あげるよ」

「私も」


そう言って僕とミスチーはあらかじめ用意していた門出の祝い品を渡す、開けて良いのか?とワクワクした表情でこちらを見つめてくるので僕もミスチーもどうぞとうなづく


「わぁ…!可愛いです、それに時計も助かります、二人ともありがとうございます」


「ミスチーにもこれ、解体用のナイフ、いざという時は短剣代わりにも使えるから」


「うむ…、感謝する」


ミスチーも旅に出るので門出の祝い品を渡しておく、ロララは忘れていたらしく少し気まずそうにしてから首にかけていた小さなペンダントを贈っていた


「ルカ、私がいなくなってもちゃんとご飯食べるですよ?」


「こっちのセリフだ、誰がお前の食生活を支えてたと思ってるんだ」


「ミスチー、私がいなくても寂しがってはいけませんよ」


「…少し難しいな、別れには慣れているはずだが少し名残惜しい」


「では、おやすみなさい」

「おやすみ」

「良い夜を」


次の日、アバンギャルドのパーティーハウスに並んだコップの数は二つ、そして一週間後には一つ、そして二週間後、パーティーハウスはギルドの貸し出し物件で紹介されるようになっていた


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